この記事から続いてます。

私「そんなことは事前に聞いていません。そうされた理由は何ですか？」

医者「え？そ、それは・・・そうした方がきれいに治るからだよ」

（患者にそんなことツッコまれたの、はじめてだぜ）
といわんばかりの表情と口調です。

医者「糸をわざと一本残してるの。傷口の皮膚を、こうね、内側にたたんで、中の糸で留めてます。そうすることで、縫い目を内側に隠してるの。糸が残ってると、術後の腫れがおさまるのには時間がかかる代わりに、あとあと傷跡がキレイに・・・ほとんどわからなくなるの」

つまり、手芸でいうところのまつり縫いをしたということでしょうか？

表に縫い目を見せない「まつり縫い」

私「（しばし黙考）・・・皮膚の下に異物を残すと、異物肉芽腫ができる可能性があるのではないですか？」

＜異物肉芽腫＞

種々の原因による慢性的な炎症により炎症細胞や線維芽細胞が集積し、毛細血管に富んだ線維からなる腫瘤が生じたもの。
体内に長時間分解されずに存在する異物が慢性炎症の原因となり、肉芽腫を生じる。
異物には外傷に由来する砂、石、木片、また外科手術に由来する種々の生体内埋入材料、美容外科手術で使われる充填材料等がある。

＜異物肉芽腫とがんの関係＞

異物肉芽腫と癌の発生に明確な因果関係は証明されていない。
しかし異物肉芽腫が長期間存在し、潰瘍化を繰り返す場合は、癌発生を促す可能性は否定できない。早期の異物摘出が望まれる。

（一般社団法人 日本形成外科学会HPより抜粋）

医師がギョッとした顔になりました。
（なんでこの患者、患者のくせにそんな言葉知ってるんだ？）
という顔です。

こちとら、大手術（両乳房全摘出手術）経験済みのHSP（石橋は、叩いて叩いて叩く）ですから！
外科手術に関しては、知らなくてもいいような超些細なことまで調べ済み！

私「具体的に言いますと、縫合糸反応性肉芽腫です」

＜縫合糸肉芽腫（縫合糸反応性肉芽腫）＞

手術で体内に残した縫合糸が原因でおきる肉芽腫。 近年、獣医系の学会や論文で多数の症例報告があがってきている。
まだ少ないが人間の症例報告もあり。

人間の症例報告（例）
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jacsurg/23/2/23_2_165/_pdf

Amazonでも買えちゃう、練習用縫合糸

外科手術 縫合練習用 糸付き縫合針 シルク糸 黒 1箱12本入り Silk Braided (1箱)

E&W

Drugstore

縫合糸肉芽腫は、犬猫での症例報告が近年急増中。ググると山ほど出てきますよ。
ペットオーナーは要注意。

医者「そりゃ、可能性を言い出したらゼロじゃない。可能性なら、ある。でもね、ほら。二重埋没法、知ってるでしょ？美容外科でやってるプチ整形。あれもまぶたの皮膚の下に糸を残して皮膚を留めてるんだよ。とにかく異物肉芽腫ができたっていうクレームは、僕は受けたことない」

二重埋没法

本人がリスクも含めた覚悟で希望する限りはOKでしょう。それは自由。
正義かどうかまでは知らんけど。

整形は正義！

ベストセラーズ

本

私「まだ、受けたことがないんですね」

医者「！！！！」

私「体内に糸を残して傷跡の見た目を優先するか、普通に縫って全部抜糸して、多少跡が残っても安心を優先するかと事前に訊かれていたら、私は普通縫合を選びました。髪の生え際です。多少の跡が残っても髪で隠れて見えない場所です。たかが１㎝ほどの傷です。傷跡が少々残ろうが、知れてます」

医者「・・・（しばし絶句）僕が任せてって言った時、（君は）何も言わなかったよね？」

私「『皮膚下に糸を残す方法でやるから、任せて』と言われていたら、イヤです、従来法でお願いしますと絶対に言いました。インフォームドコンセントの怠慢です。なので、やり直しを希望します」

医者「は？？」

私「再度切開して、皮膚下の糸を抜去して、従来法で再縫合してください。私は皮膚下に縫合糸など残したくないんです」

医師「皮膚の同じ個所を二度切ることになるけど？」

私「ええ、本当に。最初にひとことインフォームドコンセントさえ取っていただけてたら、二度も同じところを切って二度も痛い思いをせずに済んだのですけど」

医者「わかったよ！やり直しますよ！」

私「もちろん無料でおねがいします」

医者「！！！！！」

少々長くなりましたので、ここまでを中編にして、後編に続きます。