博物館レポ>国立ハンセン病資料館
こちらから続いています。
明治薬科大学から南へ1.8km徒歩22分で国立ハンセン病博物館に着きます。
画像は公式より。
こちらはハンセン病のために指などが欠損したり手足の切断を余儀なくされた患者さん方の写真なども多く展示されているます。
なので苦手な方は訪問をご注意ください。
この記事にはそういう写真はあげてませんのでご心配なくお読みください。
※展示室内撮影禁止でした。
公式。
月休/9:30~16:30/入場無料/予約不要
ハンセン病とは
「癩(らい)菌」(細菌)感染で起きる感染症の一種。
かつては「癩(らい)」「癩病(らいびょう)と呼ばれていた。
しかし差別用語として使われていたため、現在はらい菌の発見者アルマウル・ハンセンにちなんで「ハンセン病」と呼ばれている。
ハンセン病は末梢神経がゆっくりと犯されていく細菌感染症です。
しかしらい菌の感染力は非常に弱く、現在では最弱感染症菌として知られます。
万一感染しても免疫が正常な成人が発病することは極めてまれとのことです。
乳幼児期にハンセン病患者に繰り返し接触した人が、長居潜伏期間(数年~数十年)を経て免疫機能低下をきっかけに発症することがある程度ということです。
しかし栄養状態や衛生環境が悪く、免疫機能が低い乳幼児が多かった時代は、それなりに発症者がいたようです。
また治療薬がなかった時代は病気が進行すると指や鼻、手足などの変形や欠損などを起こしました。
👇画像は群馬県より。
ハンセン病患者差別問題
ハンセン病患者はその見た目のために恐れられ、差別の対象となっていました。
また日本に限らず欧米でも患者は法に基づいて療養所に強制隔離されました。
1943(昭和18)年アメリカで開発された「プロミン」が治療に有効とわかりました。
現在は後遺症を全く残さない完治が可能となっています。
しかし日本での強制隔離は治療薬発見後も50年以上、1996(平成8)年に「らい予防法」が廃止されるまで続きました。
2018年のWHO統計では、世界のハンセン病の新規患者総数は、年間約21万人。
最多がインドで、約12万人。
一方、日本の新規患者数は長く年間0〜1人を保っています。
つまり日本ではほぼ根絶しています。
現在ハンセン病療養所に入所している患者は皆、高齢者です。
しかし差別意識はまだどこかに残っていて、2003(平成15)年にも熊本県内のホテルでハンセン病療養所入所者に対する宿泊拒否事件が起きています。
思考の後退
展示の「ハンセン病の歴史(日本)」で考えさせられたのは、以下の点です。
- 奈良・平安時代頃まではらい病は伝染病(=感染症)と考えられていた。
- その後「前世の報い」「仏教を信じなかった罰」という考えが広まり、ここから差別が始まった。
- 更に時代が下ると「血筋」「遺伝病」と言われるようになり、患者本人だけでなく家族親類まで差別の対象にされた。
古代より中世の方が考え方が退化している。
色々と考えさせられる場所でした。
8月末まで開催中の企画展
企画展「生活のデザイン~ハンセン病療養所における自助具、義肢、補装具とその使い手たち~」。
JR武蔵野線新秋津駅から帰路につきました。
秋津駅(西武池袋線)新秋津駅(JR武蔵野線)ともに1.7㎞徒歩21分です。
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