「物を大切に使う教育をしてます!」と言われたけれど
昔々大昔、空に翼竜が飛んでいた頃の話です。
☟翼竜画像は日経スタイルより。
私は上京したてで、デパートで短期のアルバイトをしていました。
革小物売場に、ある日ブランド物の定期入れ(販売価格8千円ほど)の修理希望のお客様がみえました。
私は自分の定期入れなんかダイソーやセリアでしか買わないので、今はどうか知らないのですが、当時のデパートではブランド物の場合修理を無料で受けていたのです。
ただその持ち込まれた定期入れはもう悲惨なくらいボロッボロで、正直触りたくもないくらい手垢で汚れていました。
私 「いつ頃お買い上げでしょうか?」
客 「2年前です。ほら、レシートもあります」
2年!?
20年の間違いではなくて!?
どこをどう使えばたった2年でここまで完膚なきまでにボロボロにできるんでしょう?
才能かよ。(心の声)
ほぼ危篤状態で、今にも医者が「ご家族を呼んでください」と言いそうな感じですよ。
えっと、牛革製だから、子牛を呼べばいいのかしら?
私 「少々お待ちください」
上司(正社員)に見せると
上司「…こ…れ…を、修理?」(うわあという表情)
上司が飛び切りの営業スマイルで遠回しに遠回しに「お買い換え」を勧めてみるも
客 「これは子供のなんです。我が家では子供には物を大切に使う教育をしています。だから何度でも修理して使わせたいんです。2年ごとに買い替えるなんて、子供の教育に良くないじゃないですか!」
私 (だったらまず常日頃から大切に扱わせる教育をしろよ!親も週一回くらい布で拭いたりすれば、たった2年でここまで手垢は染みんわ!!何が教育だー!!☜心の叫び)
しかし当時は「お客様は神様です」がまかり通っていた時代。
神様はたいそう強気で「修理!」の一点張り。
上司は結局その修理を受け付けました。
まあ、デパートが修理代を負担するわけではないですからね。
その修理希望品を受け取った時の、卸業者の営業の顔。
☟
2週間ほど後、死体を集めてつぎはぎして雷に打たせた上にユンケルに漬け込んで(嘘)とにかく無理やり生き返らせた、フランケンシュタインのような修理品が上がってきました。
これで相場の修理代が頂けるならまた別ですけど、無料サービスですよ。
それでもまだ神様が感謝してくだされば報われましたが
客 「どーも。また次もお願いしますね。長く使わせたいから」
その時私は思いました。
(自分、客商売は向いてないや。早く事務職を見つけよう)
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