逮捕状を使った詐欺の報道です。

手口は

警察を名乗った電話がかかって来て「逮捕状が出ている」と言われる
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LINEで「逮捕状」画像が送られて来て、コロっと信じる
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「保釈金さえ払えば逮捕されない」と言われ、指定された口座に大金を振り込む

ツッコミどころ満載ですね。

逮捕状（緊急逮捕）がありえない

まず、LINEで送られてきたという逮捕状画像。

書類のタイトルが「逮捕状（緊急逮捕）」となっています。
ありえない。

逮捕には3種類あります。

①通常逮捕　（刑訴法199条）

②現行犯逮捕（刑訴法212条／213条）

③緊急逮捕　（刑訴法210条）

①通常逮捕：逮捕令状に則って行われます

身柄を拘束するにあたり、その正当性を示す根拠として「裁判所が逮捕を認めた」と証明できるもの＝逮捕状の原本が提示されます。

そもそも逮捕とは逃亡のおそれがある場合に行われますから、逃げる時間を与えないよう本当に執行直前に提示されます。

②現行犯逮捕：例外的措置。令状無しで行えます

犯行現場を確実に抑えた場合には令状無しでの逮捕が例外的に認められています。
この現行犯逮捕に限り、警察官ではない一般人でも行うことができます。
＝私人逮捕。

③緊急逮捕：令状の事後請求（即）を条件に認められています

犯行現場を押さえたわけではないが、警察官が「犯行を疑うに足りる十分な理由と確信がある」と判断した場合は、例外的に無令状での逮捕が許可されます。

ただし「逮捕後は速やかに令状を請求する」という条件付きです。
いわば緊急的事後申請・事後承認です。

つまり画像の「逮捕状（緊急逮捕）」は、緊急逮捕完了後に申請してはじめて発行されるもの。
逮捕前に存在するはずがありません。

これだけで偽物と断じることができます。

逮捕前に用意されていて提示されるのは「逮捕状（通常逮捕）」一択です。

次の「逮捕前に保釈金なんてありえない」に続きます。