HSS型HSP🌏Millieの脳内世界

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Home! Sweet Home!(埴生の宿)韓国映画「コンクリートユートピア」映画レビュー追伸


昨日描いた映画レビューに書きそびれたことをひとつ付け加えます。


どこにでもいる普通の庶民が「我が家(マイホーム)」を愛するあまりに狂っていくさまを描いた本作。


私は星ふたつ(5点満点中)という辛い点を付けました。


理由はほぼほぼ主人公3人のうちの若夫婦の妻の言動の偽善に耐えかねたから。


未曽有の非常事態に、完全に夫に庇護されながら、温い安全圏からごもっともな偽善ばかり並べ立てるから。


確かに夫君がやってることは平時なら犯罪だけど、この人9割はアナタ(妻)のためにやってるんだよ?と不憫になってしまって。


なのでどうも作品世界に入って行けない感じで観ていたのですが、ラストの一番凄惨なシーンでだけは思わずちょっと胸に来るものがありました。


それはBGMです


絵面はこの上なく凄惨なのに、ゆったりと流れたのはそれは美しいメロディのスコットランド民謡。


「 Home! Sweet Home!」でした。


日本では「埴生(はにゅう)の宿」と訳されています。


「埴生の宿」とは「埴土(はにつち/へなつち)で壁を塗った、みすぼらしい家」という意味です。


地質学的に解説すると、粘土質を50%以上含んでいるため肥料の分解が遅く、耕作には不適切。


沼地の底にあるような、土壁を塗るくらいにしか使えない土です。


そんな痩せた貧しい土地に住むしかない人の、剥き出しの土壁のみすぼらしい家。


日本語の歌詞は明治時代に作られた文語調で、格調高すぎて逆にわかり辛いので、英語の歌詞とその直訳を貼ります。


Home! Sweet Home!


Mid pleasures and palaces though we may roam,

Be it ever so humble,there's no place like home;

A charm from the sky seems to hallow us there,

Which,seek through the world,is ne'er met with elsewhere.


Home,home,sweet,sweet home!  

There's no place like home,oh,there's no place like home!

おお愛しき我が家


宮殿での享楽生活も

清貧の我が家にまさる所なし。

天賦の魅惑漂うところ

世界中探しても代わりなど絶対にありはしない。


我が家、我が家、おお愛しき我が家。

我が家にまさる場所などない。

我が家にまさる場所などないのだ。


私が同情してしまった若夫婦の夫君(演じるのはパク・ソジュン/下画像右)は、不幸な育ちから安定と家庭を欲し、


「夢を見ず、公務員を目指し、家庭が欲しくて早くに結婚し、無理してこのアパートを買った」


と呟きます。



画像はKSTYLEよりお借りしました。



自治(自警)団のリーダーに祭り上げられたことで性格が変わっていく謎の男(演じるのはイ・ビョンホン/上画像左)は、実はもっと壮絶な手段で家を手に入れています。


そうまでして手に入れた「皇宮アパート」ですが、被災前はどちらかというと低所得者向けだったことが作中何度も匂わせられます。


貧しい中から無理をして、必死の思いで手に入れた粗末な我が家。


だからこそ愛着が肥大して、ついには狂気に踏み込んでいく住人達。


あれ?私けっこう感情移入してますね。


あの若夫婦の妻(演じるのはパク・ボヨン/上画像中央)が偽善を吐き続けなければ、☆3,9くらい付けていたかもしれません。