赤トンボよりも赤いショウジョウトンボ(猩々蜻蛉)は赤トンボではありません
今日善福寺池のほとりで見つけた、この見事なまでに真っ赤っかのトンボ。
ショウジョウトンボ(猩々蜻蛉)のオスです。
眼から尻尾の先まで隙無く真っ赤っかです。
ちなみにメスは地味。
メスの画像は墨田区公式よりお借りしました。
私の後ろで、若いお父さんが小さい男の子に
「ほーら、赤とんぼだよユウ君(仮名)、あ・か・と・ん・ぼ!」
と熱心に教えてらっしゃいましたが、お父さん。
非常に申し上げにくいことなので、もちろん口になど出しませんでしたが、
ショウジョウトンボは赤トンボとは別種です
といいますか、「赤トンボ」という種類のトンボはいません。
(心の声追加)
赤トンボというのは、パッと見で体色が赤いトンボを指す俗語です。
白い犬を「白犬」黒い犬を「黒犬」と呼ぶようなものです。
グレートピレニーズ(白)も紀州犬(白)もマルチーズ(白)も白犬。
ドーベルマンも黒柴も黒チワワも黒犬。
ただし犬の場合は、どんなに体が大きかろうが小さかろうが、生物分類上は一種しかないと定義されています。
ネコ目(食肉目)イヌ科イヌ属オオカミ種イエイヌ亜種。
グレートピレニーズもマルチーズもドーベルマンも柴犬もチワワも、ブルドッグもミックス犬も等しくネコ目イヌ科イヌ属オオカミ種イエイヌ亜種。
人間が勝手なブランド名を付けてチワワだの雑種だのと呼んでるだけで、全員がイエイヌ。
しかし、トンボは違います。
犬はどんなに見た目が違っても一種、トンボは見た目が似てても5,000種
トンボ目(蜻蛉目 せいれいもく)は約5,000の種に分かれています。
日本だけでも約200種います。
その中で俗に「赤トンボ」と呼ばれているものは、主にトンボ目トンボ亜目トンボ科アカネ属に属する50種。
そのうち日本にいるのは21種です。
この小さい国に50分の21種(4割強)もいるというのは驚嘆に値する事実ですが、それはさておき。
アカネ属には体色が赤くないトンボも含まれています。
なのでアカネ属の中でも体色が赤い種だけを赤トンボと呼んだり、アカネ属の中では一番赤いアキアカネだけを「狭義の赤トンボ」などと言ったりもします。
何故か、を書き始めると長くなるので、今回は割愛します。
そして、アカネ属に属するどのトンボよりも赤さで優るショウジョウトンボは、アカネ科ではありません。
トンボ科アカネ亜科ショウジョウトンボ属です。
つまりショウジョウトンボは赤トンボではないのです。
ショウジョウトンボは「赤トンボ」ではない
トンボ科アカネ亜科ショウジョウトンボ属。
画像はYahoo!ニュースよりお借りしました。
アキアカネは「赤トンボ」である
トンボ目トンボ亜目トンボ科アカネ属。
画像は教育出版よりお借りしました。
ベニイトトンボは「赤トンボ」ではない
トンボ目イトトンボ亜目イトトンボ科・絶滅危惧種。
こちらも体色が赤いトンボですが、イトトンボの仲間なので俗に言う「赤トンボ」ではありません。
画像は広島大学よりお借りしました。
ベニトンボは「赤トンボ」ではない
トンボ目トンボ科ベニトンボ亜科 ベニトンボ属、1950年代に東南アジアから移入した外来種。
日本での生息域を鋭意拡大中(現在の所は九州四国沖縄。北上中)ですが「赤トンボ」ではありません。
こうして参考画像を並べてみても、やはり一番見事に赤いのはショウジョウトンボですよね。
共通しているのは、どの種も赤いのはオスだけという点です。
メスは地味な黄褐色(くすんだオレンジ色)です。
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