ミラーリングとは似て非なる「返報性の原理」とは
こちらから続いています。
石丸氏の言い訳発言
「僕はコミュニケーションの基本としてミラーリングする。善意には善意で返し、敵意には敵意で返す」
は、心理学用語「ミラーリング」の誤用であると書きました。
それはミラーリングではなく「返報性の原理」ですと。
というわけで本記事は「返報性の原理」について書きます。
「返報性の原理」とは
相手から受けた好意や敵意などに対して「お返しをしたい」と感じる人間のベーシックな心理のことです。
「ミラーリング(同調行動)」との違いのキーワードは、好意と悪意です。
「好意を持つ相手の仕草・表情・行動・口調などは、好意ゆえに自然と(無意識に)真似てしまう傾向がある」
というのが「ミラーリング(同調行動)」。
皆さんも、敵意や嫌悪感を持つ相手の仕草や表情を真似るなんて、まっぴらごめんじゃありませんか?
一方「返報性の原理」とは
「相手から何かを受け取った時は、こちらからも同様な何かを返さないと気分が落ち着かない」
という気持ちになる心理効果のことです。
ミラーリングとの大きな違いは、この「何か」が好意・善意だけにとどまらない点です。
「好意(善意)の返報性」と「敵意(悪意)の変法制」
<好意の返報性>
相手から何らかの好意や親切を受けた時は、そのお返しやお礼をしたくなる心理。
試食や試供品をもらうと、ついつい「買わなきゃ悪い」気がして、予定外の物を買ってしまった…などがそれです。
「試着をしたら断われない」という人もいますね。
好きなタイプを尋ねられて「私のことが好きな人」と答える人などもこれでしょう。
<敵意の返報性>
相手から何らかの悪意や意地悪を受けた時は、その報復(仕返し)をしたくなる心理。
「やられたらやり返せ」です。
「倍返し」という人もいますね。
営業や接客(ビジネステクニック)にも積極的に応用される「ミラーリング」と「好意の返報性」ですが、やり方は全く違います。
「ミラーリング」の応用
親しくなりたい顧客の仕草などをさりげなく観察し、相手がゆっくりと話す人ならこちらもゆっくりと話す、相手が小首をかしげたらこちらも小首をかしげる、などをさりげなく行う。
あからさまに真似したり、相手の仕草を全て真似たりすると逆に相手の不快感や警戒心を誘発するため、さりげなく控えめにがポイント。
基本的に相手の行動が先、こちらの行動は後追いです。
「好意の返報性」の応用
こちらは「人は好意を示す人に対して、お返ししたくなる心理を持つ」を応用するわけですから、こちらの行動が先です。
上で挙げた試食や試供品や試着などがまさにそうですね。
「積極的に笑顔で話しかける」「積極的に相槌を打つ」「訪問先に手土産を持っていく」
などなど。
先手必勝です。
石丸氏の発言も
「僕はコミュニケーションの基本として返報性の原理で動く。善意には善意で返し、敵意には敵意で返す」
とすれば、合っていたことになります。
変法制の法則にはあと二つ「譲歩の返報性」と「自己開示返報性」があるとされています。
長くなるので、残りの二つについてはまた別記事で書きます。
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