中学の時の現国教師の話其の2(実話)
この記事から続いています。
この国語教師はちょっと、いやかなり独特の人だったので、まだまだエピソードがあります。
もうひとつだけご紹介します。
ある日「現国の時間に、好きな詩の一番好きな一節を発表する」という課題が出ました。
当日、何故か私が一番に当てられました。
私はノートに書き留めてきた詩を読み上げました。
上田敏(うえだ びん)訳詩集「海潮音(かいちょうおん)」より
「春の朝(はるのあした)」
時は春
日は朝(あした)
朝は七時(ななとき)
片岡に露みちて
揚雲雀(あげひばり)なのりいで
蝸牛(かたつむり)枝に這い
神、そらに知ろしめす。
すべて世は事も無し。
※揚雲雀(あげひばり)空高く舞い上がりながら鳴いているヒバリのこと。 春の季語。
教師「え~っ?え~っ?えぇ~っ…」
私 「…?」
教師「外国の詩かぁ…」
私 「??」
教師「現国の宿題なんだから、日本の詩を選んでほしかったよな~。ここは日本語選ぶだろフツ~~」(テンション⤵⤵)
私 「原語じゃなくて、上田敏の日本語訳が好きなんですけど」
(日本の詩に限るという指示はなかった)
教師「いや~、純粋な日本の詩でもっと良いのがあるだろう…例えばさ、
『太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。』
とかさ~」
私 「三好達治の『雪』ですか」
教師「そうだよ。現国の宿題なんだからさあ。ん~~じゃあ次、山田」
山田君「幾時代かがありまして、茶色い戦争ありました。ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」
教師「おっ、中原中也の『サーカス』か!センスいいな山田!そうそう、中也は良いよな~」(テンション⤴⤴)
私 (反応違いすぎ)
教師「じゃあ次、佐藤」
佐藤さん「今日のうちに遠くに行ってしまうわたくしの妹よ みぞれが降ってきて表は変に明るいのだ 『あめゆじゅとてちてけんじゃ』」
教師「おっ、宮沢賢治の『永訣の朝』か!!うんうん、そうそう、賢治も良いよな~。妹のセリフの花巻方言が良いよな~~」
(テンション⤴⤴)
私 (またお得意の感性の押売りが始まった…)
教師「じゃあ次、鈴木」
鈴木君「智恵子は東京に空が無いと言う。ほんとの空が見たいという。私は驚いて空を見る」
教師「お~っ、高村光太郎の『智恵子抄』か!うんうん、良いよな!」(テンションMAX)
私 (…)
教師「エンドウ、日本語の詩もういっこ追加で発表しても良いぞ?」
私 「ありません」(うんざり)
教師「あ、そ・・・う」
今、私の好きな日本語の詩は、草野心平(1903~1988)の「春殖」と「俺も眠ろう」です。
「春殖」
るるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる
(カエルの卵が繋がっている様子を表した詩)
「俺も眠ろう」
るるり。りりり。るるり。りりり。るるり。りりり。るるり。るるり。
りりり。るるり。るるり。るるり。りりり。
(冬眠に入ろうとする二匹のカエルが鳴き交わしている様子を表した詩)
画像はとなりのカインズさんよりお借りしました。
\るるり。/
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