「真綿色」は綿色=コットンホワイトではありません
ようやく寒くなってきて、いよいよシクラメンの季節です。
ところで布施明が「シクラメンのかほり」で歌った
「真綿色したシクラメンほど 清(すが)しいものはない」
の「真綿色」、皆さまはどんな色を脳裏に思い浮かべながらお聞きでしょうか。
「そんなの、綿(わた)の色なんだから、白に決まってますよね?」
その「ワタ」とはこれでしょうか?
アオイ科ワタ属ワタ(英語ではコットン cotton)
種子の周りに「木綿(もめん)」と呼ばれる、セルロース(炭水化物)を主成分とする繊維の綿毛(わたげ)が生えている。
これはあくまで綿(わた)であって、真綿(まわた)ではありません。
真綿(まわた)
チョウ目カイコガ科カイコガ属カイコ(蚕)が繭を作るために口から吐き出す動物性繊維で作った綿。
主成分は蛋白質。
日本にカイコが中国から伝来したのは弥生時代(紀元前)。
一方、植物の綿が伝来したのは8世紀(平安時代)ですが、綿花栽培は失敗。
しばらく忘れられ、栽培に成功したのが15世紀(室町時代)です。
つまり室町時代に木綿の生産が始まるまでは、日本では綿(わた)とは真綿のことでした。
ところが似たような植物繊維が伝来したので、元からある方を「真綿(まわた:真の綿)」、後から来た方を単に「綿(わた)」と呼び分けるようになりました。
というわけで「真綿色」とは蚕の繭の色=シルキーホワイトです。
綿色=コットンホワイトに比べ、微かに灰色味を帯びています。
つまり「真綿色したシクラメン」は、よく見かける左ではなく、レアカラーの右。
画像は繭=多摩六都科学館、綿の実=天気jp、シクラメンは2枚ともみんなの趣味の園芸よりお借りしました。
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