角を矯(た)めて牛を殺すな・HSPの特性は矯正できない
角を矯(た)めて牛を殺す、ということわざがあります。
「牛の角が曲がっているのをよくないと考え、まっすぐに矯正しようとして、牛を死なせてしまう」
というもので、意味は
「直す必要もないほどの小さな欠点を無理やり直そうとして、逆に全体をダメにしてしまう」
です。
曲がった角なんて欠点ではなく、ただの個性に過ぎないと思うのですが、平均至上主義者にとっては、平均値(もしくは彼らの理想値)から外れたものは皆欠点なのです。
日本は欧米などに比べ「同調圧力」が強すぎて生きにくいとよく言われます。
同調圧力とはつまり「少数派は多数派に合わせるべきと強制する圧力」のことです。
まっすぐな角だけが正しく美しく、曲がった角は間違いで醜い。
牛が例え痛い痛いと泣いて叫ぼうと、まっすぐに矯正してやるのが正義であり、優しさであり、第一本人のためである。
それが原因で牛が病んでしまい、最終的に死んでしまっても、私は善意でやってあげたのだから悪くない。ついてこれずに死んでしまった牛が弱いのだ。
・・・そんなこと言ったらこのひとたちなんかどうなるんですかね。
威風堂々のスパイラル、ブラックバック・アンテロープ
みごとな螺旋(らせん)、ラツカ羊
私が小学生だった頃は、今よりもっとずっとこの「同調圧力」がひどかったです。
学校の先生も、親たちも、少しでも平均値から外れた感性や性格を持つ子供には「愛のムチ」とやらをふるいながら、むりやり矯正しようとしていました。
私の場合は幸運なことに(今思えば、彼もHSS型HSPの特性を持ってたよなあ)と思える祖父が、孫娘の変わりっぷりを認めてくれ、かばってくれたおかげでだいぶ助かりましたが。
ただしこの祖父も、ご近所の評判は「変わり者」「ガンコ者」、口の悪い人からは「クソGGI」と言われていたのでした。
ですから祖父が孫娘のちょっと変わった性質をかばうのも「初孫だからって甘やかしてる」とか「溺愛してダメにするタイプ」「ジジっ子は三文安い※」とか陰口を叩かれていたようです。
※本来の形は「おばあちゃん子は三文安い」ということわざです。意味は「年寄りに甘やかされて育った子は、他の子よりも値打ちが低い」
昔話で
「おじいさんとおばあさんに育てられた桃太郎は日本一の勇者に育ちました」
とか
「おじいさんとおばあさんに育てられたかぐや姫は日本一の美女に育ちました」
とか読み聞かせている一方で、この言い草。
ことわざにはなっていませんが「片親家庭の子」や「離婚家庭の子」も同じように「価値が低い」とされていました。(結婚の時に困るよ、とか)
しかし、今となっては祖父は「個性を尊重する育て方」をしようとしてくれたわけです。
もちろん私はおおいに感謝しています。
祖父、そして基本的に祖父の方針に従っていた祖母の存在がなければ私の子供時代はもっともっと悩み多く、暗かったでしょう。
二人がいても悩みまくりましたからね。いじめにも遭ったし。
もしもですが、「自分の子供はHSPだろうか?」と思われている方がこの記事を読まれていたら、角を矯めることだけはしないで下さいとお願いしたいです。
また、既に大人でHSPの自覚のある方は「自分で自分の中の牛の角を矯める」ことは避けてほしいです。
お読みいただきありがとうございました。
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