私はあまり何かに憧れたことがない
何故なら、例えば昭和の頃はよく言われた
「鳥はいいなあ。自由に飛んでどこにでも行けて」(憧れ)
は、単なる人間の誤解だから。
鳥にだって縄張りはある。
自由気ままにどこへでもフラフラ行けてるわけじゃない。
空だって外敵だらけだ。
彼らの死亡率は高い。
スズメなんか、春に生まれたヒナの9割はその年の冬に死ぬ。
寒さで凍えて死ぬ。
寒さゆえに餌である虫がいなくなって飢えて死ぬ。
飢えて仕方なく米をついばめば、害鳥扱いされる。
だいたい同じスズメが春夏は「害虫を食べるから益鳥」で、秋冬は「穀物を食べるから害鳥」っていったい何なんだ。
人間が可愛い可愛いともてはやすカルガモの雛も、孵化後2か月で飛べるようになるまでに5割は死ぬ。
そして地上に外敵がいない環境に置かれた鳥は、もれなく・速やかに羽が退化して、飛ばなくなる。
「飛べなくなる」のではなく、飛ばない方向へとたやすく進化する。
飛ぶという行為は、地上の覇権を哺乳類に横取りされてしまった恐竜の生き残りが、ニッチを求めて編み出した苦肉の策だ。
だから地上に外敵がいない環境に身を置くや否や、鳥は苦行を放棄する。
地べたに回帰する方を選ぶ。
だとすれば、その地上の覇者である哺乳類の中でも一番地上を好き勝手に占有している人間が、「鳥はいいなあ(憧れ)」と言うのは実に不遜で、鳥に失礼だ。
それは王族貴族の世間知らずのお姫様が、奴隷の少女に
「アナタはいいわね、政略結婚とかしなくていいから自由で」
と真顔で言うくらい、残酷に不遜だ。
「猫はいつも寝てばかりで、自由でいいなあ」も全く同じたわごとだ。
…と、こういうことを中学生頃から考えていた私は、だから安易に他者に憧れてはいけないと思って生きて来て、気付くと還暦を過ぎていた。
もし「貧困も格差も争いも老化も病気も、全ての憂いを科学力で克服し尽くして、平均寿命も10万年くらいに伸ばした」異星人が目の前に現れたら、羨ましく思うかもしれないけど。
そういう異星人の方、もしいらしたらコメント欄からご連絡ください。
不老不死には少々憧れています。



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