世界の価値観を一変させたコーポレートスローガン「ダイアモンドは永遠の輝き」
こちらの記事から続いています。
私の好む好まざるとに関わらず、世界一有名、かつ世界の価値観を一変させるほどの影響を与えたバケモノ級のコピーがあります。
「A Diamond is Forever」(De Beers)
「ダイアモンドは永遠の輝き」(デビアス社)がそれです。
ダイアモンドは、戦前までは今ほど価値のある宝石ではなかったそうです。
燃えるように紅いルビーや海のように碧いサファイヤなどのような、わかりやすい色付きの石の方が値段も高かったそうです。
今でも「ダイアモンドの真の価値は、あなたがその石に払った値段の約半分」と言われています。
その「一番の取柄は、その硬さ」のダイアモンドの市場価値を一気に引き上げたのが、アメリカのDe Beers(デビアス統合鉱山株式会社)が1947(昭和22)年に放った、コーポレートスローガン兼商品キャッチコピー。
「A Diamond is Forever(ダイアモンドは永遠の輝き)」
でした。
直訳は「ダイヤモンドは永遠」ですが日本語訳者はそこに「輝き」を付け足しました。
日本でも昭和~平成前期の頃は確かにTVCMで「ダイアモンドは永遠の輝き」と盛んに言ってました。
映画の幕間CMでもやってたなあ。
この「A Diamond is Forever」のコピーが誕生したのは、終戦から2年目の1947(昭和22)年。
コピーライターはメアリー・フランシス・ゲレティ(女性)。
ダイヤモンドをその硬さゆえに「永遠(の存在)」と定義し、それと「永遠の愛」を結び付け、「永遠の愛を証せるのは、永遠の存在であるダイアモンドだけ」というイメージに誘導。
これによってアメリカではダイヤモンドの価値が爆上がり。
「A Diamond is Forever」は世界34ヶ国語に翻訳され、世界中でもダイヤモンドの価値が爆上がり。
「婚約指輪といえばダイヤモンド一択」
というブームを巻き起こし、今に至るまで「婚約指輪=ダイヤ=常識」というほどにまで定着させました。
ついでに言うと、少し前までよく言われた「婚約指輪の相場は(新郎の)給料3か月分」というのも、デビアスが作り出した「新常識」です。
しかもアメリカ本国の広告では「Two Month’s Salary(2か月分の月給)」だったのが、日本では何故か1か月上乗せされて「給料3か月分」として広まりました。
デビアス社は、南アフリカ共和国発祥で英国ロンドンに本社を置くダイヤモンドの採鉱・流通・加工・卸売まで一貫して展開する資源メジャーの一つ・・・でした。
世界中にカルテルを展開し、アフリカでの原石採掘から各国の流通までに至る強力なシンジケートを構築。
工業用を除く世界中のダイアモンドの、供給量と流通量をほぼ一手にコントロールしてきました。
現在は米アングロ・アメリカン社(鉱業資源などを取り扱う投資グループ)の子会社となり、往時の勢いは薄れたようです。
かつての同社の破竹の快進撃を後押しした、この超強力なフレーズは、1999年に「20世紀の最も影響力のあったコピー」に選ばれました。
そして誕生から77年後の今もなお、現役でデビアス社のコーポレートスローガンを張り続けています。
さて、これほどまでに「コピー」「キャッチコピー」を連発しておきながら何ですが、「キャッチコピー」は和製英語です。
正しい英語では、tagline(タグライン)またはslogan(スローガン)です。
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