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 青蛙 おのれもペンキぬりたてか ー芥川龍之介ー



                                       

<後編>伊達政宗から右目を奪った天然痘と、眼帯の話

Millie Endo


この記事から続いています。




1974(昭和49)年、政宗の墓の発掘調査が行われました。


そして遺骨の頭蓋骨を基に復顔が試みられました。


復顔とは、人間の頭蓋骨に粘土などを使って肉付けを行い、生前の顔を復元することです。


その時は「頭蓋骨には隻眼だった影響が見られない」とされました。


そのため両眼が同じ大きさで、遺言通り「両目を備えた」(両目を開けた)復顔像が造られました。


1975(昭和50)年に造られた「両目を備えた」伊達政宗復元容貌像は、1935(昭和10)年に造られた伊達政宗公騎馬像に比べると細面(ほそおもて)で、やはり細面に描かれている肖像画に似ています。


それから46年後の2021(令和3)年、伊達家18代当主・伊達泰宗氏(当時63歳)のたっての希望で、最先端技術を用いた再度の復顔が試みられました。


1974(昭和49)年に作られた頭骨のレプリカを基に、京都芸術大学の美術解剖学准教授・戸坂明日香氏が作成、国立科学博物館人類史研究グループ長・坂上和弘氏が監修に当たりました。


最新技術で分析し直したところ、「頭蓋骨には隻眼だった痕跡が見られない」とされた1974(昭和49)年とは異なり、「右眼窩が左眼窩に比べて2ミリ小さい」ことが判明。


眼球委縮の影響によるものと推定されました。


それを忠実に復顔したものが下画像です。


      


次に、今や伊達政宗のシンボルアイコンとなった「右目の眼帯」ですが、複数残された肖像画には一枚も描かれていません。


隻眼だった人生に遺憾を残し、「死後の肖像には両目を備えよ」と遺言までした政宗です。


ことさら隻眼を悪目立ちさせる眼帯を自ら付けるような悪趣味は、やらなかったと思われます。


そもそも当時の歴史書で政宗を「独眼竜」と形容しているものは皆無で、「独眼竜」という形容詞自体が後世の創作物とされています。


隻眼を気にしている人を「独眼竜!」と呼ぶなんて、ただのイジメですからね。

竜(神獣:良いイメージ)を付けりゃいいってものではない。


ちなみに「越後の龍」(上杉謙信)と「甲斐の虎」(武田信玄)は、二人が生きていた頃からリアルにガンガン使われまくった形容詞です。



さて、では「眼帯政宗」はいかにして誕生したのでしょうか。


実は、政宗の右目に眼帯をアレンジしたのは、第二次大戦中だった1942(昭和17)年に制作・公開された大映映画「獨眼龍政宗」が最初でした。


政宗を演じたのは、時のスーパースターで当時39歳の片岡千恵蔵。


しかし「眼帯政宗」を定着させるには至らず。


戦後の1959(昭和34)年に制作・公開された東映映画「独眼龍政宗」でも、当時27歳の中村(後に萬屋)錦之介が「眼帯政宗」になりましたが、やはり定着には至らず。


他の時代劇では、だいたい「右目を瞑った」姿で描かれ続けます。


次に政宗に眼帯を付けたのは、バブル景気が始まった翌年の1987(昭和62)年に作られたNHK大河ドラマ第25作「独眼龍政宗」でした。


政宗を演じたのは、当時27歳の渡辺謙。


本作が平均視聴率39.7%、最高視聴率47.8%(関東地区)というミラクル大ヒットを起こしたことで「眼帯政宗」が一気に定着。


これ以降描かれる政宗は、映画・ドラマ・マンガ・アニメ・伝記の挿絵、全てにおいて「眼帯政宗」化することになりました。


「独眼竜政宗」(1987年) が叩き出した最高視聴率47.8%は、39年後の今でも堂々のNHK大河ドラマ歴代最高記録で、破られていません。


というわけで、案外新しいんです、「眼帯政宗」。



カプコンの大ヒットゲーム「戦国BASARA」に登場する伊達政宗も「眼帯政宗」です。


カプコンは2015(平成27)年、有名な伊達政宗公騎馬像を模した「伊達政宗公騎馬像戦国BASARAバージョン」(但し銅像ではなく素材はプラスチック)を宮城県白石市に寄贈しました。


宮城県白石市は、政宗が自身の右腕と言われた片倉小十郎景綱に治めさせた白石城があった場所で、伊達藩の南の要衝でした。


白石市はカプコンと「戦国BASARA」シリーズを活用した地域活性化で現在もコラボしており、騎馬像も「白石市×戦国BASARAトークライブ」を記念して寄贈されたものです。


現在はホワイトキューブ(白石市文化体育活動センター)」に展示されています。


      


しかし近年では「史実に忠実に」ということで「NO眼帯政宗」も復権しつつあります。


下は2020年に刊行された岩崎書店刊行の子供向け伝記(佐々木ひとみ著/鈴木淳子画)です。