心理学>「ドア・イン・ザ・フェイス」:依頼のテクニックsideA
昨日公開したこの記事で触れた
「ドア・イン・ザ・フェイス」について詳しく書こうかと思います。
ドア・イン・ザ・フェイス(Door-in-the-face technique/DITF)
日本語では「譲歩的要請法/譲歩的依頼法」と訳されています。
断られる可能性が高い大きな要求を意図的に1番目に行うことによって、それより小さな2番目の要求を承諾されやすくする心理的テクニックです。
例1⃣ あなたは誰かから1万円借りたいと思っています。
❶最初から「1万円貸してほしい」と交渉する。
❷最初は「30万円貸してほしい」と言い、断られたら「1万円でもいいんです」と交渉する。
この場合❷の方が貸してもらえる確率が上がることが心理実験でも証明されています。
他人の頼みを断る行為は、断る人の性格によって度合いは違えども心理的負担(ストレス)になります。
大げさにいうと「罪悪感」です。
なので、要求レベルが下がると、人は罪悪感から逃れるために「そのくらいなら…」と思ってしまう傾向が強いのです。
また、急に「1万円」と言われると「1万円だってけっこう大金だよ」と思う人もいるでしょう。
しかし大きな金額(上の例では30万円)の後に言われると、急に金額が下がったことにより「1万円くらいなら」と感じてしまうのです。
例2⃣ あなたは誰かに1万5千円の高機能枕を売りたいと思っています。
❶最初から「この枕は1万5千円です。こういう機能があります」と勧める。
❷最初は5万円前後の高級枕を見せ、高すぎて無理と言われたら1.5万円の枕を勧める。
この場合も❷の方が買ってもらえる確率が上がるそうです。
👇1万円台半ばの枕はこちら。
この交渉術を使う際のポイントは❶と❷の間を空けないことです。
というのも「人の頼みを断る罪悪感」というのはそこまで大きなストレスではなく、時間の経過とともに消えるためです。
❶で発生した罪悪感が薄まらないうちに❷を出さなければ効果が期待できません。
❶を高く設定し過ぎてもいけません。
1⃣で突然「500万貸してほしい」と言ったとしましょう。
過多な要求が相手に与えるのはそれを断る罪悪感ではなく、不快感や警戒心です。
2⃣でいきなり15万円の枕を勧めた場合も同じです。
👇13万円の枕は実際にネットでも売られています。
❶の要求は低すぎず、高すぎず。
絶妙な加減が要求されます。
「Door-in-the-face technique」という言葉は「shut the door in the face(門前払いする)」が元になっています。
これは一見真逆にも取れる「フット・イン・ザ・ドア Foot-in-the-door technique/FITD」
(日本語訳:段階的要請法)と巧みに使い分けられています。
ちなみに私は販売/営業職の経験はアルバイトレベルしかない、ほぼ事務職人間です。
借金の経験もありません。
なのでこのテクニックは使う方ではなく使われる方の心得として知っています。
つまり「その手に乗りにくく」するために積極的に知るように心がけています。
フット・イン・ザ・ドアについてはまたそのうち別記事に書きます。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。