マールブルグ病>名前の由来と宿主のコウモリを解説
今日の午前中に書いた記事です。
アフリカで感染拡大中の感染症ですが、ドイツの都市(マールブルグ)の名前が付いています。
その理由はこれです。
1967年旧西ドイツ・マールブルグでワクチン製造のためにウガンダから輸入されたアフリカミドリザルの腎臓を使った際に、研究員などの間に原因不明の熱性疾患が流行したのがはじまり。
フランクフルトや旧ユーゴスラビアでも同様の事例がみられました。
要は実験用動物臓器の主(アフリカミドリザル)が感染していて、その血液と接触した研究員などが感染したということです。
他の生き物の命を奪って実験動物などにするからですね。
この点は人類全体の自業自得とも言えます。
ただし欧州での感染事例はこのドイツ、ユーゴスラビア等数カ国止まりで、その後の感染例はアフリカだけです。
動物から人間への感染経路は長らく不明でしたが、初症例報告から40年後の2007年にオオコウモリ(フルーツバット)が媒介していることがわかりました。
コウモリの中でもフルーツバットと呼ばれる果実を主食としているグループは、比較的大型で可食部(肉)が多めなのとフルーツ食というイメージが良いせいで東南アジアなどでは食べる地域があります。
フルーツバットは昼行性でエコーロケーションを行いません。
そのため夜行性でエコーロケーションを行うグループに比べ可愛らしい顔をしています。
<エコーロケーション(反響定位)>
動物が自ら発した音や超音波の反響によって周囲の物体の距離・方向・大きさなどを知ること。
コウモリ・イルカ・クジラが有名だが、現在わかっている限りでも約1,000種類の動物がこの反響定位を使う。
コウモリの遣う超音波には周波数変調(FM)音と周波数一定音(CF)音とFM音を組合わせたCF-FM音の2種類がある。
<エコーロケーションを行うコウモリの例・キクガシラコウモリ>
夜行性のため退化した小さな眼、代わりに発達した大きな耳と、超音波をコントロールするための独特の鼻葉(鼻のまわりの複雑に発達したヒダ)が特徴。
動物食。主に昆虫を捕食。
☝画像は日東防疫より。
害虫を食べてくれるので日本の法律では益獣指定です。
家に巣を作られた場合、一般人が勝手に捕獲・殺傷すると鳥獣保護管理法違反で1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
<エコーロケーションを行わないコウモリの例・フルーツバット>
昼行性のため発達した大きな目を持ち、ネズミや小型犬に似た顔つき。
植物食で主に果物を食べる。
☝画像はペットショップリミックス(名古屋)より。
エジプシャンルーセットオオコウモリ。
リンゴやバナナなどの安価な果物で飼えるためペットとしても流通していて、日本でも売られています。
現在は海外からの輸入が禁止され、国内繁殖個体のみのため値段が上がっていて、ペットショップでの相場は5万~10万のようです。
その一方で東南アジア諸国やパラオ・バヌアツといった国では食用。
ごく普通に肉が売られているそうです。
確かに小型犬によく似ています。
かなりベタ慣れした子の動画がYouTubeなどに複数上がっているようです。
しかし野生動物を食べたり、飼ったりすることには常に感染症などのリスクが伴います。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。