フェイクではないけれど印象操作された情報
NYで弁護士になったKKさんの記事を見ました。
私はあの人の記事は普段、意図的に見ないようにしています。
しかしその時は数字に引っかかって見てしまいました。
KKさんの弁護士としての初任給は20万ドル(約2,800万円)と伝えられている。
ただ、ラーメン1杯が30ドル(約4,200円)は下らない超物価高のニューヨークでは安泰とは行かないのは明白だ。
ラーメンのみならず色んなものの値段が日本の3倍程度だとするなら、日本だと年収1,000万円ほどで生活するレベルに近いということになるだろうか。
(その記事より抜粋)
無理やり「3倍」に誘導しようとしていますね。
もしラーメン価格を物価の基準にするなら、総務省の小売物価統計調査による2022年2月度の日本のラーメンの平均価格は609円です。
東京は家賃や人件費(最低賃金が日本一高い)分、全国平均よりも高くなります。
しかしそれでも平均は800円台です。
NYのラーメンの平均価格が30ドル(約4,200円)ならば、800円の約5倍。
それを基準にするなら、給料20万ドル(約2,800万円)は日本の感覚では5分の1の560万円ということになります。
法務省・日弁連・最高裁が実施した調査によると、平成27年度(少々古いですが、これより新しい調査結果がない)の日本の弁護士1年目の年収は568万円。
奇しくもほぼ同じです。
「日本で言えば年収1,000万クラス!十分凄いんです!」
※日本における年収1,000万超の割合は4.9%。
という印象に導きたいがために、日本のラーメンの平均価格を4,200円の3分の1だと言って具体的な数字は出さずに澄ましてなさるけど、計算すれば4,200割る3は1,400円。
無理がありますね。
でも数字に弱い人って自分で計算しないから、
「わあ~初任給で1,000万!スゴ~イ」
「さすがKKさん!優秀!すてき~!」
って、コロっと信じるんだろうなあ。
「食物繊維がレタス10個分ですって!」
「凄い凄い!買う買う~!!」
というのと同じ。
数字マジックに踊らされています。
レタスは食物繊維が非常に少ない野菜です。
100gあたりの食物繊維量は1.1gなので、レタスMサイズひと玉約300gを丸ごと食べても、約3.3gしか摂れません。
一方、ゴボウは100gあたり6.1gです。
少し大きめのゴボウ1/2本で約100gなので、煮物にすれば軽く食べられます。
広告の「このファイバードリンク1本で食物繊維がレタス2個分!」(6.6g)
は
「このファイバードリンク1本でゴボウのお煮しめ4~5本分!」とほぼ同じです。
だったらゴボウのお煮しめ食べるでしょ。
お財布にも優しいし。
「フェイクではないけれど、印象操作された情報」は、そこここに溢れています。
気を付けましょう。
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