「知床旅情」の「ピリカ」はエトピリカではないと私は言い切る・その理由
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ネットを見ると、「知床旅情」の「ピリカ」を解説しているサイトはいくつもあります。
そして中にはこんな論調も散見しました。
「『知床旅情』の『ピリカ』は『美しい女性』の意味ともとれるが、一方で『美女を岩陰に連れ込んだところをエトピリカに見られ、笑われた(ように鳴かれた)』ともとれる」
これは絶滅危惧種1A類(最も絶滅の恐れが高い)・エトピリカの生息地を知らない人の想像ではないかと思います。
知床半島の海岸あたりには、普通にエトピリカが飛んでいるというイメージでしょうか。
エトピリカは現在、根室半島沖にある無人島、ユルリ島・モユルリ島で数十羽が繁殖しているだけです。
1970年代から個体数が激減したそうです。
ということは森繁久彌が知床ロケに行った1960年代にはもう少しいたでしょう。
しかしそれでも珍しい鳥には変わりなく、北海道本土ではなく道東沖の島々に棲んでいました。
羅臼町(本土)の海岸にカモメみたいにわらわら飛んでいる鳥ではなかったはずです。
美女を小舟で沖の無人島まで連れ出して、上陸して岩陰に連れ込んだ・・・のであればエトピリカに見られた可能もあるかもしれません。
しかしそこまで手の込んだことをやっているとは思えませんよ「知床旅情」のあの歌詞は。
「(村の中で酒を)飲んで(村の近くの)浜に出て(そこにあった)岩陰に」
と解釈するのが妥当でしょう。
そもそも無人島なら、人目を避けるために「岩陰に寄る」必要もないわけです。
また、エトピリカの鳴き声は見た目に似合わぬ重低音です。
とても「笑い声」には聞こえません。
エトピリカの鳴き声は、下の海遊館公式フェイスブックの動画でご確認ください。
海遊館曰く「大人の男性が『おぉ~~~』っと驚いているような声」。
近くでこの声で鳴かれて「笑われた」と解釈する感性の持ち主は・・・皆無とは言い切れませんが相当特殊だと思います。
さて、エトピリカやウミガラスは潜水が大得意な鳥です。
空も飛べるし潜水もできるって、最強かよ。
これだけのハイスペックを持ちながら絶滅危惧種1A類(最も絶滅の恐れが高い)とは、諸行は無常ですね。
葛西臨水族館でもエトピリカは盛んに潜水をしていましたが、ガラスが曇っていて※ちゃんとした写真が撮れませんでした。
※水族館の名誉のために言っておくと、お掃除が行き届いていないのではなく、中に入ってるのが海水なので淡水に比べてガラスの汚れが激しいのです。
よって下の潜水画像はアクアマリンふくしまよりお借りしました。
余談ですが葉加瀬太郎氏は2014年に葛西臨海水族館のイベントで
「エトピリカ水槽の前で『エトピリカ』を演奏する」
をやったそうです。
行きそびれました。
またやってくれないかな。
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