心理学>共感疼痛と共感力(エンパシー)と高共感力者(エンパス)とHSP
初公開:2022/11/10 22:00
あるムラゴンブロガーさんがこんなことを書いてらっしゃいました。
- 昨日息子さんが仕事中に小指を骨折された。
- 今日になったらご自分の指(息子さんが骨折されたのと同じ指)が痛い。
これは「共感疼痛(きょうかんとうつう)」と呼ばれるものです。
共感力(エンパシー)によって、他人の痛みを自分の痛みのように感じてしまうという現象です。
人間を含め、社会集団を営む(群れをつくる)動物は、群れの中の他個体と心理的につながるために「共感能力」が発達しています。
ただし共感能力は内集団(同じ群れの中)に働くものとして進化してきたため、誰に対しても同程度に発現するとは限りません。
つまり身内や仲間に対しては働きやすく、赤の他人に対しては働きにくい傾向があります。
善人(だとその人が思っている)人に対しては働きやすく、悪人(だとその人が思っている)人に対しては働きにくいという説もあります。
また平均的には女性の方が男性より共感能力が高い傾向があるとも言われます。
共感力(エンパシー)が極端に強い人を指す「エンパス」という言葉も最近使われるようになってきています。
一時「サイコパス」という言葉がネット上で流行りました。
タイトルに「サイコパス」を使ったマンガやアニメも複数出ました。
「サイコパス」とは「生まれつき自分以外の人間に対する思いやり(=共感力)などの感情が著しく欠けている人」のことです。
「パーソナリティ障害」などとも呼ばれます。
「エンパス」とはその逆で「生まれつき共感力が高すぎて周囲の感情が容易に伝染してしまう人」です。
- そばにいる人が頭痛で苦しみだすと自分も頭痛がしてくる。
- 親しい人がケガをすると自分も同じ場所が痛くなる。
- 不機嫌な人と同じ空間にいるだけで自分まで感情が不安定になる。
「エンパス」をタイトルに使ったマンガ/アニメは、私はまだ知りません。
上に挙げた例のような傾向は、適度(本人が苦痛を感じない範疇)であれば「思いやりのある人、優しい人」と周りに好意的に受け取られ、特定集団の中では有利に働きます。
しかし度を越してしまう(本人が苦痛を感じるほど強い)と生き辛さになってしまう。
そこまで行ってしまうと「エンパス」と呼ばれるようです。
私も昔から症例写真などを見るとそこが痛くなる気がしてしまうので、見れませんでした。
HSPとの違いは、HSPが五感の全て(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)に加えて周囲の感情にも敏感なのに対し、エンパスは「他者への共感力」が突出して強いのが特徴と言われます。
HSPのうちの約4分の1がエンパスという説もあります。
しかしまだ完全に解明されてはいません。
「自分の痛みを鎮痛剤で抑えると、他人の痛みに共感する能力までも低下することが、偽薬を使った実験により明らかになった」
「共感力が高すぎる人はそれによるストレスと反動から不親切になりやすい傾向がある」
等々という記事も何かで読んだことがあります。
人間の脳はとても不思議です。
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