東芝未来科学館<中編>からくり儀右衛門編❶
<前編>はこちらです。
からくり儀右衛門こと田中久重が残したからくり人形の中で、最高傑作と言われるものが「弓曳童子(ゆみひきどうじ)」と「文字書人形(もじかきにんぎょう)」です。
弓曳童子(ゆみひきどうじ)
人形が自分で矢を取り上げ、弓につがえ、的を射るというものです。
的を狙うように首を傾げたり、まるで意志を持つような動きをします。
こんな複雑な動きを木とゼンマイと糸だけで造っているのです。
【東芝】弓曳童子/【TOSHIBA】Japanese clockwork doll "Yumihiki-doji"
こちらは残念ながら実演は見れず、上と同じ映像が流されています。
銀座にある「セイコーミュージアム」にもレプリカが展示されています。
オリジナルは福岡県久留米市(久重の生地)が所蔵しています(市指定文化財)。
文字書人形(もじかきにんぎょう)
「寿・松・竹・梅」の4種類の文字を筆で書く人形です。
人形の腕が上下左右前後に巧みに動き、サラサラと達筆を書きあげます。
書台がクルッと反転して、書き上がった文字を観客に見せるギミックも全て木とゼンマイと糸だけで動いています。
驚くべき技術です。
人形の顔立が茶運人形や弓曳童子よりも「いかにも賢そう」なデザインになっているのもご愛敬です。
こちらも残念ながら実演は見れません。
上は特別公開時の映像です。
福岡県久留米市も同じレプリカを所蔵しています。
オリジナルは久重の死後アメリカに流失してしまっていたものを日本人(個人)が12年も交渉した末に買い戻したそうで、現在も個人蔵です。
絡繰杜鵑(からくりほととぎす)
エンドウ夫婦(仮名)はラッキーでした。
茶運び人形(レプリカ)の実演が面白く、3回連続で観たのですが、2回目の解説員さん(毎回担当が変わる)が興が乗ったようで「普段は実演しない」絡繰杜鵑(からくりほととぎす)を特別に動かしてくださったのです。
こちらはレプリカではなくオリジナル。
ネジを巻くとホトトギスが羽ばたいたり首を動かしながら「ホー ホー ホー」と啼きます。
鳴き声は鳥籠の台の部分の中に仕込まれた鞴(ふいご)に風を送り込むことによって出しているそうです。
万年自鳴鐘(まんねんじめいしょう)
田中重久作の万年時計(和時計)も展示されています。
本物は国立科学博物館に委託展示されているため、東芝未来科学館にある方はレプリカです。
2006年に 重要文化財指定。
翌2007年には日本機械学会から機械遺産に認定。
ちょうど12時にそこにいたので、レプリカとはいえ貴重な時報の鐘が鳴るのを聞くことができました。
鐘は9回鳴ります。
12時なのになぜ9回?と思ったでしょう。
現在でいう昼の12時を江戸時代には「九つ時(ここのつどき)」と言っていたためです。
13時が「九つ半」14時が「八つ時」15時が「八つ半」。
14時~15時頃に食べる間食が「お八つ(おやつ)」と呼ばれるのはここからきています。
エンドウ夫(仮名)は途中からサイエンスゾーンを見に行きましたが、私は100分ほどの滞在中90分程はこのヒストリーゾーンの中の田中重久コーナーだけをウロウロしていました。
ヒストリーゾーンのもう半分に展示されている懐かしの家電類は<後編>でご紹介します。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。