南無阿弥陀仏の意味は「阿弥陀如来に従う」:ナムはナマステのナム
唐突ですが、エンドウ一族は浄土真宗(本願寺派)です。
浄土真宗のお寺のお墓の特徴は大きく3つ。
❶卒塔婆は立てない。
❷墓石の正面に刻むのは「〇〇の墓」ではなく「南無阿弥陀仏」。
❸墓地に霊はいない。
まず❸から。
浄土真宗では、信徒は亡くなると即座に成仏する(極楽浄土に行く)と教えます。
よく「亡くなった人の霊魂は四十九日の間は家に留まる」
と言いますが、浄土真宗にはそれがありません。
そのため香典袋も、他の宗派では四十九日までは「ご霊前」(まだ成仏していない霊だからご霊前)四十九日が終わると「ご仏前」(成仏を果たしたのでご仏前)と使い分けますが、浄土真宗は違います。
お通夜の時から「ご仏前」一本やり。
なので先日都心の百円ショップの香典袋コーナーに
「四十九日前なら『ご霊前』、四十九日後なら『ご仏前』をお買い求めください」
とキッパリ断定口調で貼り出されていたことに少々驚きました。
「浄土真宗、物の数に入ってねえ・・・」
うん、日本シェア(シェア言うな)№1宗派なのに関東でだけは不人気で、シェア(まだ言ってる)10%だもんな、浄土真宗。
でも北陸(浄土真宗の最大勢力地)では、多い地方ではシェア80~90%は行くようです。
九州でも平均60%くらいは行ってるから、その辺の百円ショップでは注意書きも違うと思います。
たぶん。
浄土真宗では「悪人は地獄に行く」とか「この世に未練を残す人は成仏できず、霊になってさ迷う」という考えもありません。
なので浄土真宗の墓地で「怖い」とか「霊や人魂を見た」と言うと、笑われます。
私は幼稚園も実家の菩提寺が経営している所で、園長先生も坊守(ぼうもり)さん(住職の奥さんの浄土真宗における呼び名)でした。
ある日怖がりの子が
「ゆうべとなり(園舎のすぐ隣が墓地というナイスなロケーションの園でした)でおばけを見た」
と言った時、園長先生は言いました。
「うちは浄土真宗けん、おばけてんおらんよ。おるとは猫だけ!」
❷は、❶の考えから派生して
「墓石は故人の魂や霊が宿る場所ではなく、単に故人を思い出して偲ぶためのメモリアルアイテム」
と定義するため。
お墓に居もしない人の名前を大書してもしょーがないというので、一番大きく刻む言葉は「南無阿弥陀仏」。
「南無阿弥陀仏」の意味はナム(ナマス=従う)阿弥陀仏(阿弥陀如来)、つまり「阿弥陀如来に従います」。
ナム(ナマス)は古代サンスクリット語ですが、現代のインド・ネパールでも広く使われている「ナマステー」(こんにちは兼さようなら)のナム(ナマス)。
テは同じく古代サンスクリット語で「あなた」
つまり「ナマステー」とは「あなたに従います(あなたをリスペクトします)」という意味の挨拶なのです。
墓石の正面にデカデカと「南無阿弥陀仏(阿弥陀如来様マジリスペクト!)」と刻み、「〇〇家の墓」や故人名は目立たないところに小さく刻む浄土真宗徒。
それが当たり前の土地(うちのご近所の寺は9割浄土真宗)から上京して東京のお寺とお墓を見た時は驚きました。
「東京の人って自己主張が強いのな。自分ちの名前しか彫ってない」
❶の卒塔婆も、死者の追善のために墓地に立てるもの。
浄土真宗には追善という観念もないので立てません。
同じ仏教なのにずいぶんと違うものです。
※ところで、なぜ「卒塔婆プリンタ」なんていうニッチなイラストがあるんでしょうね、いらすとやさんの素材集💦
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