「ハリウッド映画の多様化基準」縛りを考える:トップガンマーヴェリック感想のオマケ
「トップガンマーヴェリック」では特別任務候補生の若手エリート士官の中にアジア系が混じっているのが見えます。
若手士官の中には台詞も登場シーンも多い白人女性兵士(演じるのはモニカ・バルバロ)がいます。
その他に、座学のシーンでもう一人の女性兵士らしいアジア系(おそらくチャイニーズアメリカン)女性が何度も映ります。
アジア系男性もビーチアメフトのシーンでチラッと映りますが、共にピントが合っているメイン出演者の後ろにボヤッとピンボケ状態で写り込むだけで、台詞も何もありません。
2020年に「ハリウッド映画の多様化基準」とかいうものが提唱されました。
決められた割合以上のマイノリティ、女性、性的少数者、障碍者などをキャスティングしていない映画にはオスカーの受賞資格が与えられなくなるというものです。
実際に適用が始まったのは今年・2024年公開分からですが、2020年にはほぼほぼ内容は決定していました。
「トップガンマーヴェリック」(2022年公開)が撮影された頃にも当然意識されていたでしょう。
観た後で調べたら、中国系女性兵士役はカーラ・ウォン(表記は王仲欣説と王仲新説があり、それ以上は不明)。
しかし、本当にモザイクをかけたようにモヤモヤっとバックに映り込むだけです。
いわゆるモブキャラです。
輪郭がボケていてもなお目鼻立ちから容易に「ああ、チャイニーズアメリカン女性」とはわかりますが、それだけ。
もし誰かに「ルーシー・リュー(劉玉玲)※だ」と言い張られても反論できません。
(反論できるほどよく見えない)
※2代目チャーリーズエンジェルの一人。
カーラ・ウォンご本人のインスタには、盛んに「トップガン・マーヴェリック出演!」とあるようですが…。
なんというか「ああハイハイ、出しときゃいいんでしょう、アジア系の女性」って感じの完全お飾りキャスティングだなあと。
「刺身のツマが大根(白人男性)だけなのはダメだ!全体量の最低3割、7種類以上大根以外のツマ(マイノリティ&女性&その他)を入れること!そうでない刺身は販売を認めません」
と規定され、大慌てで
❶大葉(黒人)
❷海藻(ヒスパニック)
❸パセリ(ネイティブアメリカン)
❹モミジの葉(白人女性)
❺紫蘇の実(白人男性だけどヲタク属性)
❻レモン(病人・障碍者枠/本作ではアイスマン)
を足してみたけど、まだ一種類どうしても足りなくて、
「プラ飾り入れて数を合わせました」
みたいに感じてしまいました。
プラ造花「ミニ菊50個パック」画像は楽天市場よりお借りしました。
ここまでとってつけたようなキャスティングでも、「ハリウッド映画の多様化基準」をクリアするためには仕方ないんでしょうか。
もちろん、苦労して作った作品が「大根以外のツマが足りない」みたいな本筋(刺身)とは無関係な理由で評価されなかったら大変遺憾です。
本作の場合はカーラ・ウォン本人も「トップガンマーヴェリック出演!」と多いに誇っているようですので、誰も損はしていません。
もし私が監督だったら?とも考えてみました。
妙な多様化潮流が起きる前から温めていた大切な脚本が、こんな理由でイチャモン評価を受ける恐れがあるのなら、プラ花だろうがプラぴょん※だろうが飾ったるわ!
やっぱりこう思いました。
ただ、私が感じたのは
「数だけ合わせとけばいいのか?例え基準に種類や数が足りなくとも、何か活用できている方が肝心じゃないのか?」
だったということです。
これはハリウッドの妙な多様化基準に違和感を感じているだけであって、「トップガンマーヴェリック」にケチをつけているわけでは決してございません。
プラぴょん画像はAmazonよりお借りしました。
ぴょん吉プラスチックトイ。
…あ、これ、ラバー(ゴム)製品だった。
©吉沢やすみ
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