美容外科=整形外科ではなく、美容外科>形成外科でもない
今回の東京美容外科炎上のずいぶん前の話です。
女性ばかり数人の席で、たわいないきっかけで美容整形の話題になったことがありました。
その時、ある女性(仮にA子さんとします)が訳知り顔でこう発言したのを覚えています。
A子「美容整形をあんまり悪者にしちゃだめだと思う。
だって生まれつき顔に大きなあざがあったり、傷があったりして(言いたかったのは口唇口蓋裂のことらしい)美容整形を受けなきゃいけない人もいるわけでしょう?
私たちだって、もし交通事故で顔にけがしたりしたら、お世話になるんだから~」
はい?????
私は速攻で反応してしまいました。
私 「生まれつきのあざは皮膚科、その他の外見的先天異常は形成外科。
どちらも保険診療。
小さいうちなら自治体の子ども医療費助成制度で無償。
何が悲しくてわざわざ自費で美容整形などを受けなきゃいけないの?」
そしたらその人、こう言ったんです。
A子「形成外科?ちがうでしょ、整形外科でしょ。
せ・い・け・い!(スタッカート。完全に小バカにした口調)」
これは、たくさんの人が誤解してます。
美容整形とは、形成外科の技術を美容目的に応用したものであって、整形外科の領域ではありません。
整形外科は骨・関節などの骨格系と筋肉・神経系からなる「運動器」の機能を改善治療する外科です。
形成外科は、生まれながらの異常や、病気や怪我などによってできた身体表面の「見た目」を改善する(治療する)外科です。
(関東中央病院の解説より抜粋/一部要約)
上のようなことを説明すると、A子さんは今度はこう言いました。
A子「でも、美容外科は『顔』が専門なわけだから。
身体全体を受け持つ形成外科とかよりも、美容外科の方が顔のプロなわけでしょ?」
続けてこうも言いました。
A子「顔に大~きな傷が付いて、縫い目とかわからないようにキレイに消してほしい時に(と彼女は言った。傷跡は、消えてなくなりはしないんですけどね。目立たなくなるだけで)お金(保険診療3割負担という意味でしょう)にこだわりますぅ?
私だったら、腕が良ければ自費で払ってもぜんぜんいいですけど~ww」
まるで「エンドウさんはお金をケチって顔に傷跡を残すタイプなの?まあお気の毒」と言わんばかりな言い方で、はああ?でした。
でも、私はそれ以上は言いませんでした。
私は性格が良くないので、こんなことを言ってくる人に事実を教えたくはないからです。
形成外科専門医になるには、医師免許取得後最低2年間の初期臨床研修(この間は「研修医」と呼ばれる)に加え、専門研修4年を受けなくてはいけません。
また研修さえ終えればエスカレーター式になれるものではなく、形成外科専門医の合格率は平均85%です。
一方、美容外科には初期研修さえ終えればなれます。
「研修医時代に成績が振るわず、専門医研修に進んでも合格が怪しいとなった人が美容外科に集まってくる」
と言われるのはそのためです。
問題の麻生毅氏はプロフィールに日本形成外科学会所属と書いていますので、形成外科専門医なのでしょう。
しかし、発端となった炎上発言を行った黒田あいみ女医のプロフィールには、形成外科専門医の文字はありません。
代りに美容外科学会所属と書かれています。
美容外科専門医学会のHPを見ると、美容外科専門医は「美容外科に一定の勤務経験」があればなれるとあり、合格/不合格の観念のあるものとは話は別のようです。
つまり研修医から美容外科に就職して、一定年数勤めればなれる。
私は形成外科専門医の方を信用しますね。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。