世界的に見ても非常に特殊な日本のカラス事情のお話
初公開:2023/03/31
カラスの分布において、日本はかなり特殊です。
ワタリガラスがいない
例えば北半球のほぼあらゆる場所に分布している大型種のワタリガラス。
欧米映画に出て来るカラスはほぼこれ。
しかし日本だけは、北海道道にだけ、しかも冬だけやって来る渡り鳥。
☟ワタリガラス生息域(日本は真っ白)
ハシブトガラスが都市居住者(アーバナイツ)
東アジアにのみ生息するため、欧米人が珍しがるハシブトガラス。
英語では「ジャングルクロウ(森林烏)」と呼ばれるほどの田園生活者(ルーラリスツ)。
ところが日本ではすっかりどっぷり都会っ子。
☟ハシブトガラス生息域(日本は真っ赤)
カササギがいない
☟欧州から東アジアにかけてのユーラシア中緯度地帯に満遍なく分布するカササギ(カチガラス)。
しかし何故か日本にだけはいない。
飛鳥時代から戦国時代にかけて、朝鮮半島から人為的に移入されたグループが北部九州で野生化しているのみ。
豊田秀吉軍が朝鮮出兵の手土産に持ち帰ったとされるカササギたちの子孫です。
朝鮮出兵の拠点が佐賀県の名護屋城だったため、佐賀(筑紫)平野で繁殖。
佐賀では非常にポピュラーですが、数百年経っても九州の外に出ようとはせず、日本全体では珍鳥扱い。
近年北海道にも住み始めましたが、DNA検査の結果、筑紫平野組とは違うシベリア系群と判明したそうです。
☟カササギ分布図(日本は九州の北半分だけ赤い)
カラスのガラパゴス
このため、欧州の鳥マニアが日本に来ると
「ワタリガラスもカササギもいない上に、ハシブトガラスが市街地にいる!!」
と驚くそうです。
日本は携帯電話以前に、カラスのガラパゴスだったのです。
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