緊急車両のカラーリング問題から考える生物の色覚
色覚とは
地球上の生物が進化の過程で獲得した、色を感じ見分ける力のことです。
実は、この世に普遍的な「色」というものは存在しません。
存在するのは電磁波の一種である光の波長の違いだけです。
地球上の生物は長い進化の過程で、脳の中に光の波長の違いを認識する機能を獲得しました。
その機能により、それぞれの脳が光の波長の違いを色として認識します。
つまり「色覚とは生物の脳の中で創り出されるものである」。
これがまず大前提です。
そのため生物種が違えば(=脳の機能が違えば)感じる色も違います。
色覚の鍵となるのは網膜にある2種類の視細胞(桿体と錐体)です。
光に反応して、桿体は明暗、錐体は色彩を知覚します。
錐体の種類や数は動物の種類によって様々で、1色型から4色型まであります。
現生人類ホモ・サピエンスは3色型です。
我々ホモ・サピエンスの色覚と色覚異常
<3色型色覚>=一般色覚
いわゆる「光の三原色」と呼ばれる赤(R:レッド)・緑(G:グリーン)・青(B:ブルー)を全て感じ取ります。
日本人の場合、男性の95%・女性の99.8%は先天的には一般色覚です。
<1色型色覚>=全色盲
色に対する感覚が全くなく、全てがモノクロに見える。視力も非常に低い。
<2色型色覚>=色盲
赤・緑・青のうち1色の区別がほとんどできないもの。
第1色盲(赤色盲)と第2色盲(緑色盲)がある。
<異常3色型色覚>=色弱
3色全てを感じることはできますが、その感じ方が正常者とは異なり、特定の色の区別がし難いもの。
第1色弱(赤色弱)と第2色弱(緑色弱)がある。
青に対する色盲は稀(まれ)
ここまで読んで「青色弱はいないの?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
皆無ではないものの数万人に一人しか出現せず、極めて稀と言われています。
ということで冒頭の記事のように「救急車を青ベースにする」というのは理にかなっているわけですね。
現在の日本における「青い特殊車両」は「爆発物対策車」
ではなぜ青い救急車が造られないかというと、記事にある通り「救急車の車体は法令で白と決まっており…」のためです。
さらに言えば日本にはすでに「青い特殊車両」が存在しているためでもあるかと思います。
その「青い緊急車両」とは、警視庁特殊車両の「爆発物対策車」と「化学防護車」。
画像は、クルマSNSサイト・みんカラより拝借しました。
爆発物対策車(警視庁所属)
化学防護車(同)
英国の救急車は黄色
となれば次善の策は黄色か?
と思ったら、既に「救急車は黄色」の国がありました。
イギリスです。
現地で見かけた時は「ポップ過ぎて救急車に見えんわ」などと思ってしまったこれですが、日本の白地に赤よりも理にかなっていたとは!
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