人類以外の生き物の色覚:我々の視覚はベストではなかった
地球生命体が視覚を獲得したのは、脊椎動物出現以前であると言われています。
そして初めて獲得した色覚は青だったと推測されています。
現生人類に現れる色覚異常はほとんどが赤色型か緑色型で、青色型異常は稀であると先の記事に書きましたが、この辺りも関係しているのでしょうか?
脊椎動物はやがて進化の過程で4種類の錐体を獲得します。
4色型色覚です。
現在でも昆虫・魚類・両生類・爬虫類および爬虫類から進化した鳥類では、4色型色覚を持つものが主流です。
しかし哺乳類はそのうちの2種類を退化(現在では退行的進化とも言います)により失い、2色型色覚になりました。
なぜかというと初期の哺乳類はネズミ大の非常にか弱い生き物だったからです。
同じ祖先・両生類から枝分かれした恐竜はみるみる大型化し、地上を支配しました。
原始哺乳類は恐竜から狩られる被捕食者でした。
そのため昼の世界を支配する捕食者・恐竜から逃れて夜陰に紛れた。
つまり夜行性に移行しました。
闇の中では桿体(明暗を感じる)の方が重要なため、不要になった錐体(色彩を感じる)の一部を捨て去ったのです。
今でも哺乳類の多くは2色型色覚です。
日本の動物番組でも定期的に
「犬や猫は、ほぼモノクロの世界に生きていて色をあまり認識していない」
と紹介され、そのつど出演者が大げさに
「世界が白黒だなんてかわいそう!」
といった反応をします。
しかし彼らは夜行性で失った色覚をはるかに上回るほど優れた聴覚と臭覚を獲得しています。
彼らから見れば人間の方が
「聴覚異常で嗅覚異常、運動能力も低く、おまけにサルなのに腕力も握力も弱い※」
かわいそうな生き物に見えていることと思います。
※サルの仲間は樹上生活に適応しているため、総じて脚力はいまいちですが腕力と握力に非常に優れます。
チンパンジーは平均体重40(メス)~50(オス)㎏で平均握力は250〜300kgf。
一方人類(例:日本人)は平均体重55(女)~70㎏(男)で平均握力は30(女)~50(男)kgfです。
チンパンジーより体格は優れているのに握力は6分の1から8分の1。
もう、ジャイアンがのび太よりも弱いという感じです。
昼の世界を支配していた恐竜が絶滅すると、哺乳類の中には再び昼行性に戻るものが現れます。
哺乳類の中で最初に完全昼行性を獲得したのは霊長類であると言われます。
その結果、霊長類は一度は失った錐体2つのうち1つを再獲得し、3色型色覚になりました。
しかしまだ4色型色覚までには戻れていません。
人類がいまだ取り戻せていないのは、紫外線を視る能力です。
上が紫外線を可視できない者の視ている花の画像。
下が紫外線を可視できる者が視ている花の画像です。
もっと詳しく!という方にはこんな本がお勧めです。
この本によると、我々人類の目にカラスが真っ黒に見えるのは人類が紫外線を視れないため。
紫外線写真で見ると、カラスは黒と青が混ざり合った実に美しい模様をしているそうです。
私は死神の目よりも、紫外線が見える目が欲しい。
画像はめちゃコミックより。
©大場つぐみ/小畑健
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