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映画評>「ルームROOM」恐怖映画より遥かに怖い事実ベースの話



オーストリアで起きた「フリッツル事件」を基に書かれた、エマ・ドナヒューの小説「部屋」の映画化。


2016年カナダ/アイルランド/英/米。
(日本公開は2017年)。


実際の事件よりはかなりマイルドにされていますが、それでも下手なホラー映画など足元にも及ばない戦慄のストーリーです。


第40回トロント国際映画祭観客賞受賞。


今現在Amazonプライムビデオ(プライム会員無料)に上がってます。


こちらを未鑑賞で今からご覧になりたい方は、ここから下は鑑賞後に読んでください。
盛大にネタばらししておりますので。
よろしくお願いします。

ルーム(字幕版)
ルーム(字幕版)
Video On Demand


㊟ここから下はネタバレです


5歳の男の子ジャックは、優しいママとふたりだけで「ルーム」で暮らしていた。
彼にとって「ルーム」が世界、いや宇宙だった。


TVに映る世界はただの物語。
高い天窓からわずかな時間だけ日光が降り注ぐ「部屋」だけが母子の全てだった。


週に一度だけ、オールド・ニックという男が食料を持って現れる時、ママはジャックを小さなクロゼットの中に隠してしまう。


ママはオールド・ニックにビタミン剤もくれというけど、ケチなオールド・ニックはもったいないと言って打ち切ってしまう。


ジャックの5歳の誕生日に、ママは突然とんでもないことを言い出した。


「ママの名前はジョイ。この『ルーム』の外には、本当の世界があるの」


嘘だ!と言って信じないジャックに、ママはさらに衝撃の事実を告げる。


ママは17歳の女子高生の時オールド・ニックに拉致され、7年間この小さな「ルーム」に監禁されている。
これまで何度も何度も脱走を試みたが、すべて失敗していたのだと。


7年間の拉致監禁。
子どもは5歳。


ということは…。


観ている方(私)はここでもう背中に冷や汗が流れて、ポップコーンの味なぞわからなくなります。


救いなのは、ジャックが5歳児の平均よりかなり賢くまた可愛く、オールド・ニックに全く似ていないところでしょう。



ママ(ジョイ)役はブリー・ラーソン(1989~)
ジャック役はジェイコブ・トレンブレイ(2006~)



「あなたはもう5歳だからわかるよね?ふたりでルームを出るのよ」


ジャックは混乱しますが、大好きなママのためならと頑張ります。


二人で綿密に打ち合わせて、なんとかオールド・ニックをだましてジャックだけ外に出ることに成功します。


通行人が警察に通報し、オールド・ニックは逮捕され、ママも救出されます。


しかし7年の間に外の世界は変わっていました。


ママの両親は離婚しており、駆け付けたママのパパはどうしても「ジャックの顔がまともに見れない(孫として受け入れられない)」と言って泣きます。


そりゃあねえ…拉致監禁犯が父親だと知ってしまうとねえ…。
このじいじはちょっとヘタレっぽく描かれてますけど、お気持ちは察するに有り余りますよ。


じいじを演じるのは「ファーゴ」でもヘタレな男を演じた、ヘタレを演じさせたらピカイチのウィリアム・メイシー(1950~)。



ママとジャックは、結局ママのママとその再婚相手と暮らすことになります。


しかしマスコミの執拗な取材や、ママにも落ち度があったと言わんばかりの心無い質問に追い詰められたママは、自殺未遂を起こしてしまいます。


うわあ、やってくれるよなあマスゴミ…。


それでも、ママを慕うジェックのまっすぐな気持ちに癒されて、何とか回復するママ。


ある日ママはジャックに「ルームを見に行こう」と言います。


5歳までのジャックが「世界の全て」「向こう端が見えないほど広い」と思い込んでいた、キラキラした世界だった「ルーム」は、家具等が全て証拠品として警察に押収され、もぬけの空になっていました。


それは、犯人の家の庭に建てられた小さな納屋。
古くて狭くて薄汚れた、シミだらけの壁の、6畳大しかない、ただの納屋でした。





いやあ、子役がとても可愛い&演技力があるので最後まで観れましたが、本当にしんどかった。


しかもこれが実際の事件よりも相当マイルドにアレンジされていると知って…。


全世界を震撼させた「フリッツル事件」の事実は、実の父親が自分の娘を自宅の地下に24年間も監禁していたのです。


妻(娘の実の母)も他の子供(娘の実の兄弟)もいたのに、全く気付かずに助けを求める娘の上で暮らしていたというとんでもなさ。


実は「フリッツル事件」の概要をほぼ正確に映画化した別作品もあるんです。
「ガールインザベースメント」というのですが…そちらについてはまた機会があれば別記事で書きます。



事実は小説よりも遥かに奇なり。