今日は何の日>8月25日:ペスト菌発見日(北里柴三郎)
一昨年は「即席ラーメン記念日」をご紹介しました。
昨年は「羽田空港開港記念日」をご紹介しました。
今年はこちらをご紹介いたします。
ペスト菌発見日(by北里柴三郎)
ペストはエルシニア属細菌の一種であるペスト菌(Yersinia pestis)感染に起因する全身性の侵襲性感染症です。
野生げっ歯類(ネズミやウサギの仲間)を保菌宿主とする腸内細菌です。
つまり野生のネズミやウサギの腸内に棲息しています。
重にネズミノミ属のノミにを介して伝播されます。
人間はげっ歯類、もしくはノミと接触することにより感染します。
ペスト菌画像はWikipediaよりお借りしました。
中世ヨーロッパではたびたび大流行が繰り返されました。
特に14世紀には欧州の総人口の30%~60%を死亡させたと言われます。
皮膚が黒くなって亡くなるため、18世紀にはthe black death(黒死病)という異名が誕生しました。
主に3種の病態があります。
- げっ歯類やノミに咬まれた局所のリンパ節腫大、高熱、頭痛、悪寒、筋肉痛などが起きる、腺ペスト。
- 局所から全身に菌が広がることでショック症状、四肢の壊死や紫斑などが起きる、敗血症型ペスト。
- 腺ペストや敗血症型ペストが進行して肺炎が起き、痰やエアロゾルを介してヒトーヒト感染をきたす、肺ペスト。
14世紀のパリの医学者が当時のフランス王フィリップ6世に宛てた書簡では「空中にある大疫病(瘴気)」の原因として天文(惑星の配置)の影響としています。
病気の原因がペスト菌であることは1894年にふたりの人物によってほぼ同時に発見されました。
一人はフランス人医師で、パスツール研究所の細菌学者でもあったアレクサンドル・イェルサン。
発見場所はイギリス領香港。
全く同時期に香港に派遣された日本人調査団の一員だった細菌学者、北里柴三郎も、イェルサンとは独立してペスト菌を発見しました。
新千円札の顔、北里博士です。
実は北里の方が先に発見していたという説が有力です。
北里博士は1894年6月18日に病原菌を確定、翌19日に日本の内務省宛に病原菌発見を打電。
7月7日にはコッホ研究所にドイツ語論文と共に発見した菌株を発送しています。
またイギリスの医学誌の8月25日号に発見の報が発表されています。
☝今日の記念日の日付の根拠はコレです。
一方イェルサンが菌を確定したのは北里博士よりも一週間後だったと言われます。
ところが世界的にはイェルサンの功績と評価され、菌の学名はイェルサンにちなんだYersinia pestisとなりました(1967年)。
北里が菌の発見を報告したコッホ研究所(ドイツ)と、イェルサンが報告したパスツール研究所(フランス)の力の差が出たのでしょうか?
北里柴三郎博士はこのほか破傷風菌の純粋培養と血清療法の確立、ジフテリアと破傷風の抗血清開発で功績をあげています。
また北里博士に師事した弟子たちも目覚ましい功績をあげていることで有名です。
北島多一 :ハブ毒の血清療法を確立
志賀潔 :赤痢菌を発見
秦佐八郎 :梅毒特効薬を創製
野口英世 :黄熱病と梅毒を研究
宮島幹之助:寄生虫病の研究
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