心理学>日本人に特に顕著な「スパイト行動」とは
昨日のこの記事で触れた「スパイト行動」
を、もう少し解説します。
スパイト行動(英語ではspite behavior=意地悪行動)と スパイトジレンマ(意地悪の葛藤)実験
「誰かが抜けがけして自分だけ得をするのが許せない。
そういうズルい人は、自分が損をしてでも阻止する」
といった「人の足を引っ張る」または「出る杭を打つ」、行為のこと。
1991年、筑波大学で社会工学を研究していた西條辰義氏と中村英樹氏(共に経済学者)が、ある実験(スパイト・ジレンマ実験)を行いました。
スパイト・ジレンマ実験とは❶
- 2人で対戦するゲームです。
- それぞれ10ドル(円ではなくドルで行われました)が資金です。
これが、理論は単純なんですが、説明を文章で書き出すと長くなるんです。
なので西條辰義氏の書かれたものを貼っておきます。
うんと簡単にいうと、こういうゲームです。
スパイト・ジレンマ(意地悪の葛藤)実験とは❷
- 1回で出せる金額は0ドルか10ドル
- 2人とも10ドル出した場合は、1人30ドルずつのリターンがもらえる。
- 一方が10ドル出し、もう一方が0ドル出した場合は、10ドル出した者は15ドル、0ドル出した者は25ドルのリターン。
- 2人とも0ドルを出した場合は、1人10ドルのリターン。
これを10回行う。
普通に考えると10回とも双方が10ドル出すのが最良の方法です。
お互いに20ドル儲かるを10回繰り返せば、双方公平に資産を200ドル増やせます。
しかし、自分が10ドルを出したのに相手が0ドルしか出さなかったらどうなるでしょう。
相手は25ドル儲かるのに、自分は5ドルしか儲かりません。
すると、相手を出し抜こうと0ドルを出す人が現れることが予想できます。
双方が相手を出し抜こうと0ドルを10回出し続けた場合、資産は双方とも100ドル増えます。
スパイト・ジレンマ(意地悪の葛藤)実験とは❸
- 「自分の資産を増やす」が目的であれば10ドル×10回がベスト。
- 「相手の資産を増やさない」が目的であれば0ドル×10回がベスト。
この実験、日・米・カナダで行われました。
結果、カナダ人被験者はほぼ全員が10ドルを10回出したそうです。
一方、0ドルを選ぶ被験者が目立って多かった国は、日本だったそうです。
日本人特有の性格特性
日本人のこうした性格の特性は、しばしば
- 足の引っ張り合いを好む
- 出る杭は打つ
- 同調圧力が強すぎる
という問題を引き起こします。
綺麗な言い方をしようと思えば
- 空気が読める
- 協調性がある
- 和を以て貴しとなす
などとも言う事もできますが、息苦しいことは確かです。
コロナ禍で目立った「スパイト行動」
コロナ禍でしばしば問題になった「自粛警察」というのもそうでしょう。
画像は日経新聞より。
自由と言いながらも実質強制
「和をもって尊しとなす」の弊害だなと私が思うのが、日本の学校や職場における
「自由参加をうたっておきながら実は強制参加」行事の多さです。
自由参加だというので、それじゃあと不参加を表明すると、
「なんで参加しないの」
「みんな参加するんだよ」
「参加しないって言ってるの、あなただけですけど」
と寄ってたかって詰問(吊し上げ)される。
私 「だって、自由参加なんでしょう❓私、その日は用事があるんです」
先輩「何の用事ですか❓私だって用事くらいありました。でも用事の方の日にちを変えました。あなたの用事は日にちも変更できないんですか❓何の用事か言ってみてください。
皆が納得できる用事だったら、不参加も認められます」
まあ、ここ数年はこれも「ハラスメント」認識が広まったお陰で少しづつ弱まってきてはいますが。
私など、このブログでもうバレバレですが、幼時より平均からはだいぶ逸脱した個性の強い子供でした。
そのために「出る杭」扱いされてボコボコに叩かれまくってきました。
なので、「スパイトジレンマ実験」で日本人が際立って高いスパイト(意地悪)傾向を示したと知っても「さもありなん」という感想しか出ません。
早く改善してほしいです。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。