「胡蝶の夢」荘子:現実と仮想現実の曖昧な境界
ひとつ前の記事でご紹介した、江戸川乱歩先生が好んだ言葉ですが
この発想自体は乱歩先生の完全オリジナルというわけでもありません。
荘子(紀元前369年頃 ~紀元前286年頃/中国戦国時代の宋の思想家。道教の始祖の一人)が既にこういうことを書き残しています。
※長くなるので原文(漢文)は省略しています。
「胡蝶の夢」
昔者荘周夢に胡蝶と為る。
栩々然として胡蝶なり。
自ら喩しみて志に適えるかな。
周たるを知らざるなり。
俄然として覚むれば、則ち蘧々然として周なり。
知らず、周の夢に胡蝶と為れるか、胡蝶の夢に周と為れるかを。
周と胡蝶とは、則ち必ず分有らん。此を之れ物化と謂う。
<意訳>
以前、私・荘周は夢の中で胡蝶(チョウ)になった。
栩栩然(自由で愉快)なチョウだった。
楽しくてしかたなく、心ゆくまで舞った。
荘周であることは全く頭になかった。
だが目覚めると、蘧々然(はっきり)と荘周であった。
荘周の夢がチョウなのか、チョウの夢が荘周なのか、真実は判然としない。
荘周と胡蝶は形の上では確かな区別があるはずだ。
しかしどちらも自分に変わり無く、これこそが万物の変化である。
👇画像は小学館より。
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似てるようで似てない、でもやっぱり少し似ているものに「邯鄲の夢」があります。
「邯鄲の夢」についてはまた次の記事で書きます。
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