創作昔話「番町羊騒動」爆誕
春風なおこ様の今日の記事を拝読させていただきました。
そしたら「丑三つ時」「ヒュウゴロロ」というふたつのキーワードから、突然頭の中に謎のストーリーが爆誕してしまいました。
「番町羊騒動~皿屋敷菊子の受難~」
昔むかし江戸城のお堀の西側に、番町(現千代田区番町)という、公示地価が日の本(ひのもと)イチお高いことで有名なせれぶな町がありました。
👇画像は産経ニュースより。
一番庁から六番町までございます。
目抜き通りには南蛮渡来の洒落た服(南蛮服)を商(あきな)う
「兵庫坊主(HUGO BOSS)」
という大店(おおだな)の、旗艦店がございました。
👇南蛮(ポルトガル)服。
店長を任されていたのは美人と評判の皿屋敷菊子(さらやしき きくこ)。
菊子は少々おっちょこちょいなものの、夜遅くまで働く働き者でした。
彼女目当ての男性客で、売上げはそこそこ良好でありました。
👇ワンピースに出てきた残雪の菊之丞さん(下)とはまた別人ですよ。
南蛮服の生地の重要な素材のひとつに、羊毛がございます。
しかし当時のお江戸には羊などおりませんでした。
そのため兵庫坊主では、羊毛を自家生産しようと、お店(たな)の裏庭で羊を百頭ほど飼っておりました。
貴重な羊たちの世話も菊子の役目でした。
「羊がいっぴき~羊がにひき~・・(中略)・・羊がひゃっぴき~」
毎晩毎晩ていねいに羊を数える菊子の声を聞いた町内の者たちは、
「寝る時は羊を数えるのが、南蛮流なのだ」
「さすがお菊さん」
「かりすまだ、いんふるえんさーだ」
と噂をしあいました。
その日、菊子はバックヤードの管理や帳簿付けでまたもや残業になり、羊を数えるのが大変遅くなってしまいました。
「羊がいっぴき~羊がにひき~・・・あれ?」
いっぴき足りません。
何度も何度も数え直しているうちに、とうとう丑三つ時になってしまいました。
「やっぱりいっぴき足りな~い。ショーンの奴めええええ」
ショーンは夜遊びの好きな問題児でした。
南蛮渡来の高価な羊がもし戻ってこなければ、菊子のボーナスの査定に響きます。
「必ず捕まえる!」
と気炎&拳を上げる、寝不足の菊子でございました。
次回予告
次回「裸足で駆けてく愉快な菊子さん」お楽しみに!
キャスト
左から
- 大店(おおだな)・兵庫坊主のやり手おかみ(社長婦人)・舟。
- 兵庫坊主番町店(旗艦店)の美人店長・菊子。一心不乱になると靴を履き忘れたり、財布を持たずに買い物に行く癖がある。
- 要領の良さはピカイチの丁稚・勝男。将来の夢はのれん分けで独立。
- 見習い店員・若芽。将来の夢は「武家屋敷に奉公に行って玉の輿に乗ること」。
「兵庫坊主」の店名は創業者の出身地と髪型からきているそうな。
左から創業社長・波平、養子の若旦那・益男。
©長谷川町子
羊たち。
一番上が「将軍(ショーン)」。
&牧羊犬の「玉」。
©ニック・パーク
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