潜水艦しんかい6500とタイタン号を比較してわかったこと<後編>
こちらから続いています。
下の絵をご覧ください。
しんかい6500の耐圧殻はチタン合金製で、「もっとも圧力に強い」球体構造を取っています。
ほぼ真球に近い真球度1.004です。
更に人間の心臓のようにすっぽりと内部に包み込まれれています。
覗き窓は下部に設けられ、窓ガラスはこれです。
厚さ138mmのメタクリル樹脂製。
メタクリル樹脂はガラスに比べ丈夫ですが、硬度が低いのが欠点と言われます。
それがしんかいに用いられているのは、水圧によって僅かに変形する耐圧殻に合わせて僅かに歪むことができる(=割れない)、高度の低さゆえの柔軟性を評価されてのことです。
杉は風に折れても柳は風に折れない、というのと似ているでしょうか。
一方こちらのタイタン号は…報道で正面からの画像を見た時ドキッとしました。
真正面に窓を持ってくるために、耐圧殻の半分が前方部分に剝き出しになっています
画像はビジネスインサイダージャパンより。
TBSより。
観光船ですから観光客に外を見せることを最優先にした結果なのでしょう。
また材質もカーボンファイバーとチタン合金の複合材で、さらには耐圧殻が球体ではなく、円筒形だったということです。
より多くの乗員を載せるためでしょう。
コクピットが球体の深海6500には3名しか乗れませんが、タイタンは円筒形にすることにより5名の乗船を可能にしていました。
これらの原因により強度が低下し今回の事故が起きたと考えられています。
安全よりも定員増を優先した結果。
やるせないですね。
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