派遣で失業保険1⃣契約満了の自己都合と会社都合
初公開 :2024/4/9 10:00
推敲・再公開:2024/4/11 20:00
派遣の仕事の後に失業保険を受ける時には、辞める前から注意しておいた方が有利なことがあります。
「雇用保険の失業給付」ですが「失業保険」という呼び名が余りにも浸透しているので、本記事では「失業保険」で統一します。
申請は、自分の住所を担当している公共職業安定所(職安・通称ハローワーク)に行く必要があります。
こちらも本記事では「ハロワ」で統一します。
一例として東京都の管轄一覧を掲載しておきます。
ここに必要書類を揃えて申請に行き、「受給資格の決定」を受けると支給額や支給日数が決まります。
この時、例え同じ年齢・同じ被保険者期間があっても、個々の「辞職に至った事情・理由」により支給できる金額や日数、また待期期間の日数が変わってきます。
わずかな認識の食い違いや確認不足で給付期間が短くなってしまったら非常に残念なことです。
そのためには、辞める前から知識を仕入れておくことが肝心です。
派遣労働者でも「条件を満たす者は雇用保険に加入できる(雇用者は加入させる義務がある)」のは正社員と同じです。
しかし「受給資格の決定」時には、正社員等の直接雇用労働者とは少し異なる点があるため、注意が必要です。
順に解説していきます。
「自己都合」と「会社都合」では処遇が大きく違う
失業保険は「倒産や解雇で(自分の意志とは無関係に)失業させられてしまった人」への救済制度です。
そのため「会社都合離職者」は「特定受給資格者」と呼ばれ、手厚く救済する対象とされています。
具体的に言うと待期期間が7日しかなく、給付日数も長く設定されています。
一方「自己都合離職者」(自分の意志で失業した人)への給付は、いわばおまけです。
自己都合に対しては「給付期間を圧縮する」と職安が明記しています。
給付日数が短くなるので総支給額もその分少なくなります。
よく確認しましょう。
契約途中終了の場合の「自己都合」と「会社都合」
派遣で働く場合に「(契約)期間の定め無し」ということは絶対にありません。
必ず契約期間が明記された雇用契約書を交わします。
契約を延長する時は、改めて新しい雇用契約書を交わします。
この雇用契約書に明記された契約期間を勤め上げて辞めるのか、契約期間途中終了かをまず問われます。
途中終了の場合は
❶派遣会社から打ち切った :会社都合
❷派遣労働者から打ち切った:自己都合
となります。
待遇の差は上に書いた通りで、派遣社員だからといって特に異なる点はありません。
派遣労働者にだけ設定された第三の理由「契約満了」
直接雇用労働者の場合、離職理由は「自己都合」か「会社都合」の2種類しかありません。
しかし派遣労働者の場合は、これに加えて「契約満了」という離職理由が設定あります。
契約満了の場合にも
❶派遣会社が契約更新を拒否した :会社都合寄りの期間満了
❷派遣労働者が契約更新を拒否した:自己都合寄りの期間満了
と判断されます。
まず契約満了退職者に対しては、優遇措置が設けられています。
通常の自己都合退職の場合は、2か月の「給付制限」が設定されています。
以前は3か月待機でしたが、2020(令和2)年10月1日から条件付きで2か月に短縮されました。
これは申請して受給資格が認められても、実際の支給までは2か月(正確に言うと7日+2か月)待たなくてはならないというものです。
ところが派遣社員の場合は、自分から契約更新を断っても待期期間なし(正確に言うと7日待機のみ)で受給されます。
2007年に流行した「派遣切り」を受けて、2009年3月に法改正がなされたためです。
ただし2か月待機が免除されるだけで、給付期間が「会社都合寄りの期間満了」か「自己都合寄りの期間満了」かで大きく異なる点は同じです。
この「会社都合寄りの期間満了」か「自己都合寄りの期間満了」かは、派遣会社が作成する離職票にどう記載されるかで決まります。
そこで、辞める前に派遣会社ときちんと意思疎通し、記載に食い違いが出ないように準備しておく必要があるのです。
\ 私の考えていた理由と /
\記載内容が違う!!/
「辞める前編②」に続きます。
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