局限性恐怖症❸広場恐怖症(Agoraphobiaアゴラフォビア)
Agoraはギリシャ語で広場を意味します。
世界史で古代ギリシアの都市国家ポリスとセットで習います。
ポリスに必ず設けられた集会場所としての広場のことです。
👇テッサロニキの古代アゴラ遺跡。
Wikipediaより。
広場(アゴラ)の中には屋外劇場(オデオン)や公衆浴場(テルマエ)といった当時の社交場施設が設けられています。
👇「テルマエ・ロマエ」の舞台は古代ローマですが、ギリシャ語でも共同浴場は同じく「テルマエ」と呼ばれました。
なので「広場恐怖症」のいう広場とは、単なる広々とした空間という意味よりも、人がたくさん集まる集会場、社会の象徴と考える方がよいでしょう。
広場恐怖症はパニック発作とセットで扱われることの多い恐怖症のようです。
パニック発作とは通常自分のホームテリトリー以外の場所で突然強いストレスを覚え、動悸、呼吸困難、めまいなどの自律神経症状を起こすものです。
このようなパニック発作を何度も繰り返すと、再発を恐れるあまり不安状態を呈し(予期不安)患者は外出じたいを恐れて家にこもりがちになります。
ホームテリトリーから外(広場=社会)に出ることを恐れる(生活範囲を限定するようになる)という意味で、広場恐怖(アゴラフォビア)と呼ばれます。
日本では「引きこもり」という呼ばれる方をされるケースが多いかもしれません。
ただし、自分しかいない(何か起きても助けてくれる人がいない)自宅内(本来ならホームテリトリー)でも何か起きても助けてくれる人がいない」という不安から症状が起きることがあります。
近年の研究によってパニック発作の多くは心理的葛藤ではなく、脳機能障害(脳の危険察知システムの誤作動)と思われるようになっています
そのため、抗うつ薬(抗不安薬)が処方されることが多いようです。
時間のかかる認知行動療法しかない他の恐怖症などに比べ、即効の期待できる薬剤が使えるのは有利かもしれません。
一説によると広場恐怖症の発症率は女性で人口の約2%、男性では約1%だそうです。
こう見ると少なそうですが、顕著な特徴は遺伝率が6割と言われるところです。
他の様々な恐怖症に比べても極端に遺伝負因が大きいとされています。
遺伝するのは「中枢神経が刺激されやすい」という体質です。
なので中枢神経刺激薬であるカフェインの摂取と中枢神経抑制薬であるアルコールを控えるだけでも一定の効果があると言われているようです。
次は❺先端恐怖症です。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。