映画レビュー>「キャラクター」❷印税に幻想を持たせ過ぎ<前編>
昨年の今日はこんな記事を書いていました。
なんとなく再公開です。
初公開:2023/08/15 20:00
❶はこちらです。
一番の感想「高畑充希の無駄遣いが過ぎる」について書いています。
するともうひとつの感想も書きたくなってきました。
タイトルの「印税に幻想を持たせ過ぎ」です。
菅田将暉演じる主人公・山城圭吾(やましろけいご)はまだ20代と思われる漫画家志望の青年。
デッサン力は高いのだが編集者曰く「キャラが作れない」ために新人賞には入選するもののデビューできずにいるという設定です。
漫画家のアシスタントとは
そのため山城は売れっ子中年漫画家・大村誠のレギュラーアシスタントとして糊口を凌いでいます。
ちなみに大村の描くマンガとして画面に映し出されるのは、古屋兎丸(ふるやうさまる)氏の絵です。
高いデッサン力と耽美系の絵柄で知られる古谷兎丸氏。
代表作「帝一の國」が映画化された時も、同じ菅田将暉が主役を演じています。
アシスタントは漫画家志望の若者がデビュー前の「修行」として行うケースが多いため、稼げないイメージが強いと思いますがそうでもありません。
ヒット連載を持つ売れっ子作家にレギュラーで雇われれば、20万~40万(チーフアシスタントクラス)の月給と聞きます。
超売れっ子になると法人化してアシスタントを正社員にし、福利厚生完備ボーナス支給としている漫画家もいます。
なのでストーリーやキャラが作れなくても、絵さえ達者であれば開き直って「プロアシスタント」「社員アシスタント」として定年まで勤めている人も、実は少なからずいます。
また絵が抜きんでてハイレベルなら、出版社は原作者を付けてでも描かせようと画策します。
「ヒカルの碁」や「デスノート」でブレイクした小畑健氏は、ストーリーがあまり上手くないため、かつて連載開始➡単行本3巻で打ち切り…というパターンを数年にわたって何度も繰り返していました。
最終的に集英社が原作者を付け、以来小畑氏は作画業だけに専業して「絵師」と呼ばれています。
ここで本題です。
原作を付けようとしない編集者…どこの出版社や
山城圭吾の持込み作品を見た漫画週刊誌の編集者は
「原作付きも考えたけど、君はキャラクターが作れないから、やっぱり原作を付けてもダメ」
と、けんもほろろに原稿を突き返します。
え?原作付きの場合、キャラを作るのは半分は原作者の力量でしょう。
原作者50・編集者(アドバイス)25・作画者25くらいでしょう。
これだけの画力があれば、普通の出版社なら何としてでも拾いに行きますよ。
なのにあっさりと見切りをつける時点で(リアリティーがないな~)とマンガ読みは思ってしまいます。
しかしその後の展開がもっとリアリティがない。
古い団地からいきなり超高層タワマン最上階にお引越し
編集部を追い出された直後に殺人現場、それも猟奇的な惨殺現場に遭遇してしまった山城はそれによってインスピレーションを刺激され、1年後にはヒット作家に変貌しています。
それはあり得ることですが、1年後の山城の住まいが凄い。
アシスタント時代は築50年くらい経ってそうな団地(市営住宅ぽい造り)に住み、布団で寝て座椅子で漫画を描いてます。

そんな山城が1年後に住んでいるのはタワマン。
ネットを見ると、マンションの外観からロケに使われたのは「シティタワー武蔵小杉」(三井不動産・2016年竣工・53階建・全800戸)と特定されています。
オートロック3基を突破しないと中に入れず、住民であっても自分の居住フロア以外には立ち入れない仕様だと作中で説明されます。
画像は東京建物よりお借りしました。

そのタワマンの最上階メゾネット(2階あり・150平米は下らなそう)に引越しているという設定ですが、シティタワー武蔵小杉にはメゾネットタイプの部屋は確認できません。
おそらく室内はセット撮影なのでしょう。
シティタワー武蔵小杉の売出中中古物件を見ると、西向き70平米で1億1千万円です。
一方、賃貸情報では55平米が25万で出ていました。
この55平米月額賃料25万くらいの所に引越しました、ならわかるんですよ。
しかし映画の中の山城の部屋は150平米のメゾネットですからね。
月額賃料75万~100万円くらいの設定と思われます。
担当編集者(あの一度は原作すら付けられないと断じて山城を追い返した見る目のない人物がちゃっかり担当者になってます)の案内で新居を訪れた刑事(中村獅童と小栗旬)も圧倒されて質問します。
「漫画家ってそんなに儲かるんですか?」
あ、すいません、長くなってきたので1回続きます。
後編をお待ちください。

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