HSP>日本語訳の「繊細さん」が招くあらぬ誤解
6/30に公開した記事を推敲して再投稿しました。
ネットを見ていると、世間さまのHSPに対する大きな誤解に気づくことがあります。
だいたい個人の方のSNSでのつぶやきです。
例えばこんな意見です。
- 最近HSPをカミングアウトする人が増えてるけど、HSPって結局、発達障害を言い換えただけだよね。
- 発達障害だとビョーキだけど、HSPって言えばビョーキを認めないで済むからね。
- 誰だってひどいこと言われれば傷つく。自分だけ「私は繊細なんです」って、免罪符にしないでほしい。みんな平等だよ(^-^)
- 繊細?そんなの「慣れ」の問題でしょ。誰だって努力して慣れてるのよ。甘えないで。
「とても敏感な人」という意味です。五感が過敏なんです。
しかし日本に紹介される際に、誰が言い出したのか「繊細さん」という言葉が使われたのが誤解の元な気がします。
一部の人に
「自分だけデリケートぶるんじゃないわよ」
といらぬ反感を抱かせてるような感じです。
その一部の人たちが持っているであろう繊細のイメージ。多分。
ところで、「慣れ」とは恐ろしい言葉ですね。
私が子供の頃は、お酒が全く飲めない人に
「訓練すれば飲めるようになる。自分がそうだった」
「だから練習しろ。じゃんじゃん飲んで慣れろ」
と酒を強要することが普通に行われていました。
慣れません。
酒(アルコール)が飲めない人というのは、肝臓のアルコール分解酵素ALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)が少ない、または全く持たない人です。
日本人の約40%は、ALDH2の活性が弱い「低活性型」
約4%はALDH2が活性しない=アルコール分解能力ゼロの「不活性型」
アルコール感受性遺伝真種類
そしてこれは遺伝で決まり、生まれた後でいくら訓練してもいっさい増えません。
「働かぬなら 働かせてみよう ホトトギス」
とはなりません。怠けて働かないわけではありません。
私はビールをひと舐めしただけで顔が真っ赤になり、気分が悪くなります。
アルコールを飲んで「顔が赤くなる」のは、急性アルコール中毒の症状です。
ちなみに私は消毒用アルコールでも皮膚が赤変します。
医師に「非活性型」と明言されています。
昔は、そういう人が「飲めば慣れる」と酒を強要された結果、
「急性アルコール中毒で救急搬送されたが、病院で死亡」
というニュースがけっこうありました。
今でこそ「アルハラ」という立派なハラスメント行為と認識されています。
しかしかつてこの言葉がなかった頃、アルコールの無理強いで他人を死なせた人たちは、
とくに罪に問われてもいません。
それと同じで、HSPの「五感過敏」も生まれながらの脳の感覚野の特性です。
アルコール感受性と同じで、遺伝の可能性が高いといわれています。
いくらうるさい場所に毎日通おうが、決して慣れません。
それでも無理にうるさい場所に通い続けたら、ストレスで精神が変調をきたします。
これが「HSPはうつになりやすい」と言われるゆえんです。
「私は努力して騒音に慣れた!」と言ってる方は、
「私は飲んでるうちに酒に慣れて、今は大トラよ。ガッハッハ!」
と言ってる人と同じく、もとからそれができる体質に生まれついているだけです。
チーターがライオンに
「訓練すれば時速100㎞で走れる!私にできることが、あなたにできないはずはない!
同じネコ科大型獣だから!」
と言っても、無理なものは無理。
逆にオスライオンがオスチーターに
「家族はいいぞ。子どもは可愛い。お前もいっぺん家族を持ってみろよ」
と言っても、絶対無理。
※チーターは単独生活者。例外なくメスが単独で子育てします。
HSPは発達障害などと違って「病気ではない」というのも、叩きやすい要素なんでしょうか?
病気じゃないんなら甘えるな!って。
私なぞは実際
「あなたほどハッキリものを言う人が繊細なわけない。むしろタフ」
って言われたことがありますわ。
そうですねえ。
私は五感は敏感ですけど、モノは言えます。
ですから「繊細さん」という言葉は正直、嫌いです。
今からでも原語に忠実に過敏さんに直して欲しいくらいです。
私は、私がはっきり認識する雑音を「聞こえない」「ぜんぜん気にならない」という人に「訓練して聞き取れるようになって」「ちょっとは気にして」などと要求する気は微塵もございません。
なので「訓練して聞こえなく(あるいは気にならなく)するべき。私を見習って」とも強要されたくない。
ただ、それだけなんです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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