マンガ書評>⑲「ふんばれ、がんばれ、ギランバレー!」
ナンバリング&再公開です。
初公開:2021/10/5 18:00
非常に思い入れのある作品なので記事が長いです。
- ふんばれ、がんばれ、ギランバレー! (モーニングコミックス)
- 講談社
- Digital Ebook Purchas
データ
出版社 :講談社
種別 :ワイドKC
作者 :たむらあやこ(デビュー作)
ジャンル:闘病記(難病もの/実録もの)
発行 :2016年4月
あらすじ
作者のたむらあやこさんは1980年生まれ。
高校を出て函館の小児科医院で准看護師として働いていました。
2002年、若くて健康でピチピチの22歳の時に突然の発病。
高熱、吐き気、全身の痛み、発疹。足の感覚が全く無くなり、身動きすら取れなくなったそうです。
寝返りどころか指一本動かせない状態。
しかし病名がわからない。
病院を転転とし、ようやく判明した病名は、国指定難病のギランバレー症候群。
ギランバレー症候群とは
自己免疫疾患の一つ。急性に進行する末梢神経障害。
有病率は10万人あたり1~2人。男女比は3:2。やや男性に多い傾向あり。
通常は数日から数週間にわたって悪化し、その後は自然回復することがほとんど。
しかしダメージが強い場合は重症になり、完治に時間がかかったり後遺症が残ったりする場合もある。
評価
🌟🌟🌟🌟🌟(5点中4.9)
ひとこと
たむらさんは考えうる限り最悪のケースだったようで、約2年間も寝たきり入院生活を強いられたとのこと。
入院中も、ちょっと上体を起こすだけで血圧が低下して失神。
24時間続く身体中の激痛のために「寝たきりなのに眠れない」状態だったそうです。
とにかく壮絶すぎるほど壮絶な症状ですが、そんな闘病記でも「少しでも笑いを」と明るく描こうとするたむらさんの精神力に、脱帽しすぎて禿げそうになります。
痛みや吐き気が軽減し始めたのは発病から4年もたった頃だそうです。
しかしそれでも後遺症で手足の感覚はなく、血圧は上がらず、車椅子生活。
なんとか社会復帰したいと絵を描き始められたそうですが、感覚麻痺のせいでまっすぐな線を引くことすら困難。
そして発病から12年目に、ヘロヘロの描線ながらなんとか描きあげた闘病マンガが講談社の新人マンガ賞に入賞。
それこそ本作です。
いやもう本当に描線はヘロヘロ(2度目)。
でも「読ませる」力のある作品です。
それから
以降もスローペースながら意欲的に作品を発表されています。
お父様がタクシー運転手ということでリアリティが大爆発のタクシー会社コメディとか。
これ、マジで面白いです。おすすめ。
- 楽園タクシー配車日報(1) (モーニングコミックス)
- 講談社
- Digital Ebook Purchas
- 楽園タクシー配車日報(2) (モーニングコミックス)
- 講談社
- Digital Ebook Purchas
例の筋トレ社長とのコラボとか
- 筋トレ社長 (MFC)
- KADOKAWA
- Digital Ebook Purchas
2017年からはデジタルを導入されたとかで描線が劇的に綺麗になられました。
紙にペン描きするのは、紙の引っ掛かりがあって握力がいるんですよ。
(実は学生時代に経験あり)
デジタルだと枠線はコマンドで引けるし。
現在&最新作
- おちおち死ねない~借金だらけの家で難病になった私のライフハック~ (コミックエッセイ)
- KADOKAWA
- Digital Ebook Purchas
👇デビュー作と比べるとこんなに描線が綺麗に❗️
エンドウミリエ(仮名)の決意表明
たむらさんは2021年で40歳になられました。
発病から18年経った今も手足の感覚は戻らず、この先も一生戻らないと宣告されたとのことです。
感覚のない手で描き続ける漫画作品たち。。。
なぜ彼女はこんな素敵な笑顔で笑えるんだろう❓
これからも、たむらさんの作品は買い続けたいと思います。
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