突然、書痙(しょけい)を発症した話
東日本大震災が起きた年の年末に、私は突然「書痙」を起こしてしまいました。
【 書痙(ジストニア)】
文字を書こうとすると手の震えや痛みが発生し、書く事が困難となる病気。他人を意識するあまり、緊張が過度に高まって起こる対人恐怖の症状のひとつとされる。
当時私は派遣で働いていました。
東日本大震災直後に来た、某損保会社での地震保険関連の仕事が年末に一応落ち着き、契約満了となりました。
同じ派遣会社の案件にも応募しましたが、新しい派遣会社にも登録しようと思い、登録会場に行った時です。
そこは来た順の自由席ではなく、席割表が貼られている指定席で、私は最前列でした。
最前列はまだいいのですが、派遣会社のスタッフの一人(険しい表情をした女性)が座っているド真ん前。
会場が狭い会議室で、そこに作業机がぎゅうぎゅうに押し込まれていて、本当に目の前30センチに彼女がいる。
今なら「ソーシャルディスタンティング!」でレッドカードものの距離のなさです。
当時でも私にとってはありえない(他人との)近さでした。
嫌な予感がしました。
👇机の幅がもっと狭かったような・・・
登録会が始まり、まず記入書類が配られたのですが、その量の多さ。
私「履歴書・職務経歴等は、全て事前にWEBで送信済みですし、印刷したものを持参しておりますが」
女性「持参されたものを、当社規定のフォームに転記してください」(不機嫌)
私「派遣歴が長いもので、職務経歴が非常に多いのです」(持参する職務経歴書は任意形式と、御社のWEBには書いてありましたが?)」
女性「わが社の決まりですから!皆さんに同じことをお願いしてますから!早く記入してください!」(さらに不機嫌)
隣の若いお嬢さんをチラ見すると、職務経歴用紙は「職歴:なし」とたった二文字で完結してます。
いいな~。
この春の新卒さんだとしたら、就職に失敗して、半年以上仕事がなくて、年の瀬に派遣会社にでも登録せざるをえなくなった境遇には大いに同情するところです。
しかし、今これが2文字でミッションコンプリートというのはうらやましい。
おばちゃん、今から大量に手書きで転記だぜ。
仕方なく書き始めましたが、目の前30センチに座っている例の不機嫌女性が、私の手元をじっと凝視しているのことにすぐに気づきました。
そもそも、人に見られながらの作業が非常に苦手(HSPの特徴のひとつです)なのに、至近距離から・眉間にしわを寄せた険しい表情で・凝視!三重苦です。
やりにくい!
そう思った瞬間、手から力が抜けて、字が書けなくなりました!
私はペン字検定も持ってますし、書き文字がきれいだとずーっと言われてきました。
それが、手に全く力が入らず、グニャグニャになってしまったのです。
焦りました。左手を添えて無理に書こうとしますが、やはりグニャグニャです。
目の前の女性もすぐに気づき、
「どうしたんですかッ?」
と、さらに険しい表情と詰問口調(に聞こえました)で聞いてきます。
私「すいません、手から力が抜けて・・・」
女性「はああ~~?」
私の中の心象風景は、もうコレです。
数分格闘しましたが、読めるような字が書けず、例の女性が席を立ち、別のスタッフ(男性)に何やら耳打ちしました。二人でいぶかしげにこちらを見ています。
しかたない。
私は体調不良を申し出て、登録をキャンセルして帰宅しました。
家に帰ると普通に字が書けました。
ネットを調べて「書痙」という症状だと知りましたが、再発しなければ大丈夫と自分に言い聞かせました。
次の仕事も既に登録済みの派遣会社の案件の中から決まりました。
ひと安心だと思いました。しかし・・・
郵便局の窓口で「ではこの書類にご記入ください」と差し出された書類に、局員の目の前で記入しようとしたとたん、また同じ症状が出てしまったのです。
その時は「記入台(窓口には背を向ける場所)で書いてきます!」で乗り切りましたが、
「病院に行かなきゃ!」と私は思いました。
続きます。

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